2015.08.02

あのコの恋愛事情ーネイルサロンのないしょ話 #百年の恋も冷める朝 編

皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。

手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。

近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。

※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

百年の恋も冷める朝

先月まで、彼のLOVEな話題ばかりだったお客様が、今日は彼の話をしない。
喧嘩したかな?と思って、お客様から話題が出るのを待っていたその日。
「すごく好きだったのに、ほんの一瞬で嫌いになることあるね。」
お客様がふとつぶやいた。
好きで好きで恋焦がれた相手なのに、やっと「恋人」になれたのに、その一瞬で嫌いになってしまう不思議。その「一瞬」は人それぞれだ。

「ありますね。一瞬で嫌いになる時。ちなみにどんな一瞬がありました?」

「彼ね、すごく条件のいい人だったでしょ?エリートっていうか。いい学校出て、いい会社に入って、ていう典型的な。お家も資産家だったし、本人もその恵まれた環境はわかっていて。でもね、時々“嫌味な男だな”て思う時もあったんだよね。」

「好きな相手だと“なんか嫌味だな”て思っても、“気のせいか(はーと)”て自分に言い聞かせたりしますよね。」

「そうなの(笑)好きだからなのか“そんなわけないない。彼は世界一素敵”てつい自分で言い聞かせちゃうんだよね。」

「嫌味に気付いて嫌いになっちゃったんですか?」

「彼がね・・・あんなに日々“意識高い系発言”を重ねてた彼がね・・・オレンジジュースでうがいしたの!」

一瞬、そんな健康法あったっけ?と目が点になる私。
やはり、意識が高いだけに、うがいはビタミン接種を視野に入れたオレンジジュースうがいなのだろうか?と真剣に考えてしまった。

「違うの違うの(笑)あれだけ“育ちが”とか“家系が”とか言ってたのにね・・・冷蔵庫から・・・ひっひっ・・・オレンジジュースでね・・・ひゃはは。」

よっぽど可笑しかったのか、思い出し笑いが止まらなかったお客様につられて、笑いが止まらなくなってしまった。ことの顛末はこうだ。

彼が冷蔵庫へ向かう。オレンジジュースの紙パックを取る。紙パックからそのまま飲んだ彼をチラッと目にした時「あら、行儀悪い。」と思ったけれど、言わないでいた。背中からオレンジジュースを飲む音がする。普段から朝のビタミンが脳と健康になんたら言ってたもんな。

そう思った瞬間に背後から豪快にうがいをする音が聞こえてきた。
あまりに豪快なうがい音に「えっ?!」と振り向いたら
彼が飲んでいたそのオレンジジュースで、当たり前のようにそのままうがいをし始めて、それをまた飲んだ。彼女はひっくり返ったそうだ。

「あれだけ、上流家庭的発言をしておいて!あれだけ、選ばれた人間発言をしておいて!あれだけ、品がどーのとか言っておいて!オレンジジュースでう・が・い!!!」

「汚い。」そう思った瞬間に別れを決意した彼女は、二度とその彼とは会わなかったんだとか。そういう生活習慣って無意識に出る。オレンジジュースを飲んだついでに、オレンジジュースでうがいする男なんて、付き合いきれないと確信した出来事だったらしい。

おわりに

ちなみに、筆者もジュースでうがいする男性は嫌だ。どんなに育ちがいいとしても、上品な方だとしても。紙パックジュースをそのまま飲む姿も耐えられそうにない。
例え相手が、筆者の愛する竹〇内豊様であっても勘弁願いたい。

だけれど、全く気にならない女性も多いはずだ。むしろ「そんな面もあるのね、かわいい。」とギャップ萌えしてしまう人だっているはずだ。
これ、まさに「相性」だし、こういう些細な出来事だからこそ「運命の糸」を感じてしまう。
パンツを毎日変えないとか、靴下に穴が開いているとか、片づけができないとか、
生活習慣のちょっとした違いで冷める恋って確かにあると思う。

どんなにお金持ちでも、いい会社に勤めていても、顔が好みでも、どうしても受け入れられない生活習慣ってある。
「お金があるなら、パンツくらい変えなくてもいいわ。」という方もいれば、「お金は普通にあればいいからパンツは変えて欲しい。」という方もいる。

誰も悪くない。だって、相性なんだから。

オレンジジュースでうがいしようが、コーラでうがいしようが、構わないのだけれど、せめて、前もって何かの際に「喉の為にオレンジジュースでうがいしてるんだ。」とか「胃腸の為にコーラでうがいしてるんだ。」とか一言でいいから言ってくれていれば「意識高いのね。」とか「セレブは水でうがいなんてしないのね。」くらいで終わったかもしれないのに。

そういう健康法あるのかもしれないし。いや、でも、飲みながらうがいされたら嫌だな。
せめて、コップに注いで飲む分とうがいする分を分けて欲しいかもしれない。

昔、電車の中でつり革につかまったまま歯磨きしていた人を思い出した。歯磨き後、ペットボトルのお茶でうがいを始めて、それをそのまま飲み込んだのだ。
彼は、窓の外の景色を眺めながら日差しを浴びて、爽やかな朝を感じているようだった。
朝日のきらめきがとても似合う爽やかな青年だった。

彼を見ていた周りの人の朝は「爽やか」どこじゃなかったし、みんな目は真ん丸になっていたよ。その視線に気づかない彼は、ある意味すごい精神力の持ち主であるともいえる。
恋には「相性」がとても大切だ。

性格はもちろん、SEXの相性や、生活習慣の相性まで、相性という名の様々なハードルが並ぶ。「相性だけはお金じゃ買えないよね。」としみじみ思う。
「電車で歯磨きなんてワイルドで素敵!」とか思う人もいるのかもしれないし、いつの間にか自分も一緒に並びながら電車で歯磨きしているかもしれない。

そう思うと、お互いの「嫌なところ」も問題にならない相手と出会って、恋に落ちて、相性という名の数々なハードルを越えながら愛し合える確率ってすごく低い気がして。
そう思うと、目の前の恋人にすごい運命を感じませんか?

(川上あいこ/ライター)

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