2015.11.19

―あのコの恋愛事情― 二人が終わる時に始まる恋がある 編

皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。

手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。

近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。

※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

失恋の痛手

「あいこさん・・・彼が浮気してたよ(涙)あっちが本命になったみたいで振られちゃったよ。どうしよう。
マジありえないんですけど」エレナさんからそんな報告を受けてしまった。

浮気された上にあっちが本命。最悪のパターンだ。
「テンション上がるネイルして」なんて、そんな悲しい顔で言われてしまっては、なんとかしなくてはネイリストとしての腕が廃る。

せめて、帰り際サロンの扉を開けた時に、清々しい気分で帰って欲しい。
失恋の痛手を癒す清々しい色なんてないしな・・・と本気で悩みつつ。

終わりは始まり

そんな時に話す、とっておきの友人話がある。
「私の友人で面白い人がいるんですけどね。」と話し始めてみた。

筆者の友人サキは、セレブ奥様だ。本人は別におセレブな家系ではないし、性格も至って普通。一緒に立ち飲み屋に行くこともあれば、バーゲンに並ぶ仲でもあるわけだけれど、普段はうっかり忘れているけれど正真正銘おセレブだ。

海外にも自宅はいくつかあるし、向うで暮らす期間もある。お子さんも優秀、旦那様もとっても優しいし、嫁姑関係も特に問題ない。本人は気にもしていないけれど、サキ本人が土地もマンションも運用しているし、小さいながらも駐車場だって管理している。

「どうしたらこんな生活できるのかなぁ?て思いません?」とエレナさんに問いかけたら、「思います!思います!」と身を乗り出してきた。

「サキの一世一代の大恋愛が終わったからなんですよ。」と答えたらエレナさんは不思議顔だった。でも、恋が終わるからこそ恋が始まるのだ。

サキの大恋愛

サキの元彼は年上のバンドマンだった。売れていれば良かったんだけれど、売れているわけでもなく売れていないわけでもない、一番中途半端な状態の彼だった。

ライブを開けば百人ちょっとは軽く集まるからファンも多かったし、本命は同棲しているサキだったとはいえ、浮気の回数も多かった。
サキは本当に彼が大好きで、一生懸命に尽くしていたし、バンドの宣伝も頑張っていたし、周りから見ていても陰に日向に彼を支えようと一生懸命だった。

そんな中、彼のいつもの浮気が本気になってしまって、サキの元へ帰らなくなってしまった。
そこからのサキは病み期で、周りが止めるのも聞かず浮気相手の元へ乗り込んだり、当たると有名な占い師の元へ通って何十万も払ったり、別れさせ屋に行ったり、それはそれは大騒ぎ。

正直、あんなに浮気を繰り返す男よりもっといい男はごまんといるといるはず!とみんなで励ましたが無しのつぶて。
「どんなお金持ちより、どんな優しい人より、彼がいい!」そう言ってどんどん痩せていくサキを見て、もうこの子は立ち直れないのかもしれないと、周りも覚悟をし始めた。


そんなある日、すっかり痩せたサキが「引越すわ」と言い始めた。
あれは、サキが日本全国の復縁神社を巡り巡っていた頃だったか、怪しいなんとか水晶を買った頃だったか。
「ずっとここで彼を待つ!」と言って離れなかった、彼と暮らしたアパートを引越すと言い始めた。

日本全国の復縁神社を巡っている間に気が付いたらしい。復縁を願っている人が日本中にこれだけいるってことを。
復縁を願う絵馬や祈願の数を見るにつけ、いつの間にか「この人たちも自分も、彼と縁があるなら一度離れてもまた巡り合うんじゃなかろうか。」と思い始めたそうなのだった。

彼を愛していることには変わりがない。彼がいいことには変わりがない。
こんなに愛せる人はもういないと思えるからこそ、だったら願わなくても縁はあるはず!と二人の縁を信じてみる気持ちになったのだそうだ。

おわりに

サキはその後引っ越しをしたのだけれど「縁を信じよう」と少し気持ちに余裕ができたことで、友人達と食事に行くような時間も持つようになった。
今までは「彼が来るかもしれないから」と家を離れなかったのだけれど。
そんな中、会食の席で未来の夫と出会う。その日の出会いが今を作っている。

1つの恋が終わったからこそ、自分の中に余裕が生まれる。恋は「余裕の産物」とはよく言ったもので、必死こいて一点しか見えていない場合だと恋は生まれたりしないのだ。

ちなみに、復縁祈願のおかげもあってか、浮気したバンドマンの彼はサキの元に戻ってきた。でも、その頃にはサキの気持ちはすっかり冷めきっていたわけだけれど。

「執着」は時に人を見る目も惑わせるけれど、執着心から少し距離を置いた時に出会いのタイミングも生まれる気がする。例え運命の相手に出会っても「その人」を見る目と言うのは、自分の心に余裕がないとなかなか生まれないものかもしれない。

そう思うと、出会いを実りあるものにすることも「余裕」なのかも。

「エレナさんが執着から離れて「余裕」を持った時、また新たに出会いがあるかもしれないし、彼が戻ってくるかもしれない。
恋愛も縁も余裕の産物なら、今は強がりでもいいから「余裕」をもってみるといいかもですよ。」と話す頃には「何かわかった気がする」と笑顔のエレナさんだった。

やっぱり、少し痩せたその身体に似合う服を探して、街へ繰り出そうと歌うくらいのオンナの余裕があってこそ、次の恋があるのかもしれない。(川上あいこ/ライター)

(ハウコレ編集部)

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