2015.11.21

―あのコの恋愛事情― 尽くしても愛されない彼女 編

皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。手を握り合ったまま過ごす約2時間。

手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
親しいのに友人関係ではない。もしかしたら来月は会わないかもしれない。

近くて遠い関係だからこそ、プライドも恥もなく自分の真っ黒な本心さえも吐き出せてしまうのかもしれない。そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。

※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

三歩下がって男を立てる

日本の女性は海外でも人気が高いらしい。控えめで相手に尽くす健気さが人気の原因と聞いたことがあるけれど、21世紀を迎えた日本でも「男性の三歩後ろをついて行く」なんて言葉がまだあるくらいだから「男を立てて尽くす女」が好きなのは、世界共通の感覚なのだろうか?

でも、ほんのちょっと前を歩いてるだけで「オレ立てられてる」てえっへん顔になるなんて、なんと単純な。そんな美徳に大きく反するかもしれないけれど、筆者は、わざわざ三歩後ろを歩くなんてことをせず、横一列に歩いていても堂々としている風格の男性が好きだ。

「尽くすって難しいですよね。最近、わからなくなっちゃったなぁ。」とアケミさんがため息をつく。彼のことを大好きなアケミさんなのに、彼が冷たかったり、浮気したり、話題は事欠かない。

オンナの種類

アケミさんは筆者とは正反対のタイプだ。美味しいご飯を作って彼を待つことや、彼のアイロンにシャツをかけること、彼の背中を流すことなどなど….に喜びを感じるらしい。
「巣作りタイプ」と呼ぼうか?彼との「愛の巣」を作ることに安心を感じるらしい。
世界中でモテモテタイプ。
片や筆者、そういうことに全く興味がない。そりゃ、料理は好きだし、ごはんやお弁当を作るのも楽しいし、アイロンもキレイに掛けられたらすっきり気分で得した気分になる。夫とお風呂に入るのも好きだ。

でも全てに「忙しくない時ならね」という重要注意書きがつく。
繁忙期の大爆発時期なんかは、夫にも息子にも「自分のことは自分で」ルールを課す。
世界で人気の日本人女性とはいえども、オンナの種類は千差万別なのだ。筆者はむしろ、アケミさんを嫁に欲しいくらいなんだけど。

そんな話をしていたら「でも、あいこさん夫婦仲がいいよね。どうしたらそうなれるのかなぁ?彼と結婚できるかなぁ?」
アケミさんが悩み始めてしまった。

頭の中にある男のイメージ

「アケミさんが持ってる彼のイメージと実際の彼にギャップがあるのかもしれないですよ?」アケミさんに聞いてみる。
「実際の彼?」
「そうそう。彼の本当の願望が実は別にあるのかもしれない。」

人って、人の期待に応えたくなる生き物だ。しかも、愛する女が「男らしい人が好き」と一言でも言えば、なるべくそうあろうとしてしまう生き物だ。
健気な彼女を見て「俺が喜ぶと思ってやってくれたんだろうなぁ。」と思ったら「そこまでしなくてもいい。」なんてなかなか言えず「ありがとう。」と喜んでしまうのも人間だ。

誰でも一度は経験があるはず。すでに自分が持っているものをプレゼントに貰ったり、そこまでしなくてもいいのに…とか思いつつ、なんかやけに気を利かせてくれた友人に「うれしい!ありがとう!」と大げさに感情表現してしまったこと。

「そこまでしてもらわなくても良かったけど、気持ちは嬉しい」
「そこまでしてくれた気持ちが嬉しい」

似ているようで大きく違うこの2つの気持ちを見間違えると、不思議なもので本心がどんどん見えなくなるマジックにかかっていく。

「あの時すごく喜んでくれたから次はこうしよう!」
どんどん肝心なことが見えなくなっていく連鎖が始まってしまったら止まらない。

彼は、実は外食が好きなのかもしれない。手作りの食卓が嫌いな訳ではないけれど、たまにでいい。普段はアケミさんと美味しいお店を食べ歩きたいと思っているのかもしれない。

でも、料理が喜びだというアケミさんには何だか言いづらい。
決して、料理が不味いわけでもないのに、変にがっかりさせてしまわないだろうか?でも、外食行きたい。どうしよう。そんな気持ちを持っているかもしれない。

実は、アイロンのかかったシャツが嫌いなのかもしれない。クリーニングのバリカタYシャツが好きなんだけど、アケミさんが一生懸命やってくれているから言いづらい、とか。

不満があるからって、冷たくしていいわけでも、浮気していいわけでもないけれど、そんな小さな不満を口にできないくらい小心者の彼なのだとしたら、アケミさんがイメージしている彼と現実の彼に大きなギャップがある。

おわりに

「お前といると安らぐんだよね」とか「気持ちが楽になるんだよね」なんて言いつつ浮気するような漫画が巷には溢れているけれど、それだけ、大きすぎる愛や重すぎる愛情に疲れてしまう瞬間が人にはあるってことなのだろう。

だけれど、一生懸命尽くしてくれる相手をないがしろにするのは罪悪感を感じる。
あんなに愛してくれる相手と別れようとは思わない。ワガママこの上ないのはわかっている。だけど、なんか違う。愛しているけど相手の気持ちが重いんだ。
お互い愛し合っているのにそうなってしまったらとてももったいない。


「一回、彼と距離をおく感覚で彼が本当に喜んでいることを見極めて見るのはどうでしょう?」とアケミさんに聞いてみた。
「距離をおく…かぁ。なんかそのまま離れそうで怖いなぁ。」
「でも、それで離れてしまうならいつか離れてしまう気がしませんか?必ず巣に帰ってくる鳥じゃないと、食料も運べないですもん。結婚して、家庭っていう巣を作ろうとするなら必ず帰ってきてもらわないと。」

しばらく何かを考えたアケミさんの顔が晴れた。
「彼にはナイショで友達と海外でも行ってこようかな、一週間くらい。」
「いいですねー!それ、楽しそう!」

来月のご来店時には、お土産話が聞けるに違いない。何かを見つけたアケミさんのお土産話を楽しみに待ってみよう。(川上あいこ/ライター)

(ハウコレ編集部)
(こいずみさき/モデル)
(柳内良仁/カメラマン)

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