2011.03.19

最低限のことは知っておきたい!原発の基礎知識と、放射線を避けるためにできること


2011年3月11日の東北関東大震災で、福島の原子力発電所ではトラブルが続いています。

テレビやネットのニュースで事態が報道されるたびに、不安を感じている人も多いのではないでしょうか。
不安になると、デマや憶測が飛び交います。
原発の仕組みや放射性物質について正しい知識を持ち、デマなどに惑わされないようにしましょう。

放射線の許容量

自然界にも放射性物質は存在します。
通常の生活をしているだけで、宇宙からの放射線などによって年間2.4ミリシーベルトを浴びるといいます。
東京からニューヨークへ飛行機で往復すると、0.2ミリシーベルト(200マイクロシーベルト)程度の放射線を浴びます。
1ミリシーベルトは1000マイクロシーベルトと同じ
放射線関連ニュースを聞くときは、単位に注意を払いましょう。

また、レントゲンや空港の手荷物検査の他、ジャガイモの発芽防止などにも放射線が使われることはよく知られています。

ですから、放射性物質の濃度が通常より高いとすぐに健康被害がでるわけではありません。
問題なのは、許容量を超える大量の放射線を浴びた場合
また、短期間に高濃度を浴びると、より影響がでやすくなります。

一般の日本人が一年間に浴びてよい放射線量は1ミリシーベルト/年
放射線が健康に被害を与え始めるのは100ミリシーベルト以上を浴びた場合とされています。

参考サイト:放射線医学総合研究所

放射線の被ばく量の計算の仕方

ニュースなどで言われているのは「時間あたり」の放射線量です。
放射性物質がある限り、継続的に被ばくをしていくので、時間あたりの放射線量だけでは判断できません。

放射線の被ばく量の計算の仕方は、
時間あたりの放射線濃度 × 被ばく時間

公表された放射線濃度×24」で1日の被ばく量がわかり、それを足し合わせてゆけばこれまでに被ばくした量が計算できます。
もっと正確にしたいなら、時間ごとに測定された放射線濃度を足し合わせます。

各地の放射線量のモニタ結果はこちらのサイト(放射線監視モニタまとめ)を参照ください。

放射性物質を避けるためにできること

放射線の発生源から離れるほど影響は弱まります。

1.屋内退避
放射線の一部は建物の壁でさえぎることができます。
外部からの空気が流れ込まないように、窓や通気口はふさぎましょう。

2.呼吸からの体内被曝を避ける
外出時には濡れタオルやハンカチで鼻と口を守ります。
呼吸から体内に放射性物質が入るのを防ぎます。

3.体への付着を防ぐ
帽子・手袋・マフラーなどで外気に直接さらされる肌を減らします。
外出から帰ったら、すぐに着替えてシャワーで洗い流します。
着替えた服はビニール袋などに密閉しましょう。

4.雨のときに注意
放射性物質は雨に混じって落ちてきます。
雨にぬれないよう気をつけましょう。

万が一汚染されてしまった場合、放射性物質を除去するための詳しい方法は、こちらのサイトを参考にしてください。
GIGAZINE 放射線物質による汚染を除去する「除染」の具体的な方法まとめ

原発の基礎知識

原子力発電は、原子核の核分裂反応による熱エネルギーを利用した発電方法です。

原子核は、+の電気を帯びた陽子と電荷を持たない中性子がくっつき合っているもの。原子核の周りを-の電気を帯びた電子がまわって原子を構成します。
原子とは、物質を構成する最小単位。物を細かくしていって、それ以上小さくすることができない単位を言います。


通常は、陽子と中性子の釣り合いが取れて安定した状態ですが、中性子の数によってはバランスが悪く不安定なものもあります。

このようにエネルギー的に不安定な原子核が、分裂して元より軽い原子を複数生成する反応を「核分裂反応」といいます。

原発では一般にウラン燃料に中性子を吸収させ、核分裂反応をおこします。
核分裂の過程で熱エネルギーが発生するので、この熱で水を温め、水蒸気でタービンを回し発電するのが原子力発電の仕組みです。

ウラン1グラムの核分裂で、石油2.7トンを燃やしたと同等のエネルギーが得られます。

上の図でわかるように、反応すると中性子が発生します。
発生した中性子が燃料に吸収されると、次々と核分裂が連鎖してしまう(核爆弾はこの連鎖反応を利用する)ため「制御棒」というもので中性子を吸収し、反応をコントロールします。
ホウ素も制御棒と同じ役割をし、中性子を取りこんで核分裂を止めます。

放射性物質と使用済み核燃料

ウランが核分裂すると、ヨウ素・セシウム・ストロンチウム・クリプトンなどの放射性物質ができます。
これらの物質は、放射線を出すことで徐々に安定した物質に変化していきます。
原発から漏れやすい放射性物質で問題なのは、気体になる温度が比較的低いヨウ素やセシウムなど。

放射性ヨウ素は、人の成長ホルモンに必要な通常のヨウ素と置き換わってしまいます。このため成長中の子供に特に影響が出やすいといわれています。
放射性ヨウ素による体内被曝を防ぐ薬剤は、必ず医師や自治体の指示に従い、必要な人だけが服用するようにしましょう。

放射性セシウムとストロンチウムは、人体に欠かせないカリウムやカルシウムと化学的に似ているので、体が勘違いして取り込んでしまいます。
体内に放射性物質がとどまると、体の内側から放射線を浴び続けることになります。

放射線を浴びると、被ばくした本人にも症状が出ますが、遺伝子に傷がつくため子孫への影響もでてきます。


使用済み核燃料は上記の放射性物質を含む上、非常に高熱の状態です。
通常は熱を冷ますために原発内のプールで3~5年保管された後、再処理又は長期保管されます。

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