2016.10.01

―あのコの恋愛事情― #忘れたいあの人のこと 編

皆さんこんにちは。15万本以上の爪を施術してきたネイリストでスキンケアカウンセラーの川上あいこです。ネイルサロンは不思議な空間。
手を握り合っているからなのか、リラックスした密室空間がそうさせるのか、秘密の内緒話しを打ち明けて下さる方がとても多い場所でもあります。
そんなサロンワーク中のみんなの恋のお話を切り取ってお送り致します。
※許可を頂いたものだけ掲載しています。
※個人を特定できる情報が含まれないよう職業等にフィクションも織り交ぜています。ご了承ください。

◇記憶と感覚と声

「忘れられない人」「忘れたい人」いる人も多いのではないだろうか?好きだった人、恋人だった人、亡くなってしまった人…etc その理由はいろいろだとしても。
ヒトミさん(仮名)はどうしても忘れられない彼のことをずっと想っている一人だ。
叶わなかったから心残りなのか、側にいないから会いたいのか、信じたくない現実だから受け入れられないのか? わかっている確かなことは「恋は終わっている」それだけだ。

「脳の中って、どうして自分で空っぽにできないんですかね?」
ヒトミさんの脳は、ふとした時に彼が登場する。ふとした時に触れた感覚を思い出したり、笑う声を思い出したり、頭の中にはまだまだ彼が存在している。
他のことをしていても、趣味に没頭していても、なんとなく「脳のカケラ」が側にいない彼を感じている。
「無理に忘れようとしなくてもいいんじゃないですかね?」
ありきたりに答えた私だけど、それには理由がある。

◇覚えていたくても忘れていく

できることなら、好きになったあの人の声も、顔も、手の感触も覚えていたいんだけど、人は必ず忘れていくし記憶は必ず薄れていく。残念だけれど、大切にしまっておきたいあの笑顔も、だんだんかすれてしまって頭の中で見えなくなっていく。

大切にしたいものさえもいつか忘れてしまうのが人なら、無理に忘れてしまわないで大切に思い出しながら薄れていくのを待ったっていいじゃないか、と思う。

「やっぱりいつかは忘れちゃうんですかね?忘れたくないような忘れたいような気分だけど」
「忘れちゃうでしょうね。今だって、記憶に残っている彼の声が、本当の彼の声かはわからないですよ」
「そっか。そうですよね。”こんな声だった”て勝手に思っているだけかも」

◇おわりに

日に日に思い出せなくなる人のことを、それでも大切に想うくらいいいじゃないですか。小学生の頃好きだった人のこと、いつの間にかぼんやりとしか思い出せなくなっている大人の自分がいるように、今忘れられないあの人も、いつかぼんやりしてしまうんだから。

「強烈に脳に残るくらい大切に想えるような人なんて、そうそう人生で何人も出会えないですよ」

そう言ったら、安心したような覚悟したような目をしたヒトミさんが印象的だった午後。
なんとなく「あんなに好きになれる人いないもん」なんて言っていた、中高生の頃の自分も思い出した。
いつの間にか思い出すこともなくなった「あんなに好きだった」彼。
もう、顔はぼんやりとしか思い出せないんだけど。

忘れられない人って思い出す度になんだか苦しいけれど、例え自分の頭の中だって、その大切な相手と出会える時間は限られているわけで。
上書きタイプらしい「女子の恋愛」だけれど、無理に恋人をつくって無理に上書きなんてしなくても大丈夫。
忘れてしまうその日まで、頭の中でいっぱい愛したっていいと思うのです。
妄想でけっこう。自分の頭の中くらい、自分の好きなものや人で埋め尽くしたっていいじゃないですかね。(川上あいこ/ライター)

(ハウコレ編集部)

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