2017.01.31

彼にキスする5秒前に気づいてしまった:よろず女子百景(12)


失恋する覚悟でいかないと恋はできないのかもしれない。

彼にキスする5秒前に気づいてしまった

あの時、もう少し勇気があれば、彼にキスできたかもしれない。
でもそれは果たして、幸せなキスだったろうか?

仲間うちで飲んだ後。終電を逃した何人かで、近くに住んでいる女友だちの家に泊まった。
翌日、昼過ぎになってもまだ残っていたのは私と、当時私が気になっていた男友だちだった。彼はベッドですやすやと眠っていた。

私もそろそろ出ようと思った時、ふと立ち止まって振り返り、彼の寝顔を見つめた。
こんな寝顔なんだ。なんとも無防備。

出会ったときから好きにならないようにしていたその彼は、少し乱暴で、でも純粋で、今までに出会ったことのないタイプの男の子。私のことなんて好きにならないだろうな〜と彼への好意さえ、封じ込めるようにしていた。

だけどこんな風に寝顔を見つめたりして、もう私ってば彼のこと、完全に好きだ……。そう、そのとき認めてしまったのだった。

突然ドキドキし始めた。今ならキスできてしまうかもしれない。彼の知らぬ間に。

彼の寝顔をのぞき込んで、一瞬、彼にキスをする想像をしてみた。
そうして、思いとどまって部屋を出た。



キスをする勇気がなかったのではない。
彼にじぶんの想いを受け入れてもらえなかったときに、彼を好きでいることを諦める勇気が到底なかったのだ。

それくらい好きだったのに……彼への気持ちをまた、封印してしまった。

だけど、恋をするのは誰にとっても自由なはず。
本当に必要なのは、じぶんの想いを大切にして、恋し続ける勇気じゃなかったろうか?

だって幸せな恋や彼とのキスは、諦めずに想い続けた先にしかあり得ないのだから。(大島智衣/脚本家、エッセイ・コラムニスト)

(ハウコレ編集部)

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