2017.03.10

『ラ・ラ・ランド』はただのキラキラミュージカルにあらず!スイート&ビターな夢と恋の物語

おネエ系映画ライターよしひろまさみちの「恋愛相談シアター」、本日は番外編!

みんなはもう観たかしら、『ラ・ラ・ランド』。
アカデミー賞の最多候補作にしては日本では珍しく、授賞式直前に公開開始したアレ。怒濤のCM連発で「きゃ~、キラキラ系ミュージカル、キター!」って思った人も多いのでは?

でも、いざ観た人から感想聞いてみると「ううむ……」とか「わかんない」とか。
もちろん大絶賛している人もたくさんいるんだけど、CMで観たイメージとちょっと違ったせいか、ディスられていることも多く耳にするのね。ということで、ちょいとラララ~♪のいいとこ紹介しちゃうわ~。

◆CMでは「観るもの全てが恋に落ちる」キラキラハッピーミュージカル


物語は現代のLA。自分の店を持つ夢をみるジャズピアニストのセブと、女優を夢見てオーディションとバイトの毎日のミアが偶然出会うところからスタート。最初は渋滞の高速道路、その次はミアがうまくいかなかったオーディションの後で入ったジャズクラブ。どちらにしても超気まずい出会いだったの。でもその後、あるパーティで二人は再会し、一気に意気投合。そこから彼らの夢追い&恋の日々が始まるってわけ。

これだけだと、CMのイメージ通りのキラキラハッピーミュージカル。実際、映画自体もここまではハッピーなんだけど、ここからがイメージと違うところ。夢を追う二人が交際を始めると何が起こるか。それはキャリアと恋のバランスの不和。ちょいココ要注意!観ていない人で「ネタバレされるとイラっとする!」って人は読まないで!

◆そこにあるのは「男女のリアル」(※ネタバレ注意)


・セブは恋を選び、二人が豊かに生活するために、すでに売れてる友人の誘いに乗って、ジャズではなくポップなユニットに参加。→超売れて巡業に出ることになり、家を空けまくり。

・ミアはキャリアを選び、生活は変わらず、家を空けがちになったセブを待ち続ける日々。全財産をはたいて一人芝居の舞台を企画。→結局売れない女優。しかもセブは不在がちでボッチ。



たいがいの男って、思っていることをハッキリ口にしないで、たとえ恋する相手のため、良かれとを思ってやっていることも「そんなの俺を見てればわかるっしょ?」と暴走するもの。

対して女性は、自分が思っていることもやっていることも全部打ち明けるし、男がだんまり決め込んでいると「んもぅ、ハッキリ言えよ!!」と思っちゃう。

コレよ、コレ!『ラ・ラ・ランド』がダメだって言う人の大半が期待を破られるところって。
ハッピーなミュージカルだと”恋して愛してラッキーハッピー!”ってな超絶脳天気展開を期待しちゃうじゃない。あげく、公開前に流れていたCMがそういう作りだったからそう思っちゃうのも無理はないわよ。

ただね、この作品のいいところは、こういう男女の恋愛観の相違をすごく丁寧に描いていることなの。いわば、これがわからない、っていう人は、本当の恋を経験したことがない人か、モロ自分とかぶりまくりで鏡を見るようでイヤっていう人(後者は主に男性ね)。

酸いも甘いもそこそこ経験した大人だったら、このすれ違いはわかってもらえると思うのよね~。その反面、ラララ~♪祭りに乗り切れなくてイラッときちゃう人は、このすれ違いをわざわざ映画で観たくないか、経験したことがないから理解不能になっちゃうんだと思うの。

しかもですよ。結末で描かれる恋愛観の相違の末路ってのが、すっごい残酷なの! でも、これは経験者から観れば「あぁ、そうよね……そうなるよね……」っていうオチ。壁ドン展開やドリカム編成の三角関係など、少女マンガ的スイートな恋愛映画もいいけど、スイート&ビターなリアル恋愛映画って考えてもらえば、この映画ってすごく楽しめるはずよ。

◆斜め上から目線じゃなく、純粋に楽しんで


蛇足ですが、マニアな見方で相反する意見を検証してみましょう。映画を見慣れた人達の意見をまとめると、「オリジナリティにあふれつつも、往年のミュージカル映画を思わせる傑作」ととるか、「どこがジャズじゃい、どこがミュージカルじゃい!昔の映画のパクりじゃん!」とディスるか、どっちかなのよね~。

この作品が大好きなあたしからすると、後者の人はちょっとかわいそう。
だって、映画を斜め上目線からでしか見られないんだもの。いいじゃな~い、パクってても~。「昔たくさんあったミュージカル映画って素敵だったけど、今はないよね……」って、32歳の監督が長い間したためてきた企画だもの(言いたいことはわかるんだけどね)。そこは温かな目で見守って、純粋にこの作品楽しんじゃえばいいと思うのよ!
わかっている人はわかってるし、わからない人はわからないなりに楽しむ。これが娯楽ってもんでしょーよ!!



絶賛するにも、イチャモンつけるにしても、まずは観てから。観る前から「なんかディスられてる~」ってネガティブ意見だけ見聞きして自分から遠ざけるにはもったいない映画経験よ。少なくとも、最初の5分間のミュージカルシーン観るだけでもワクワクするし、価値がある作品だもの(LAの高速道路を本当に封鎖して、流れるような視点で撮影した名シーン)。

まだ観ていない人は、なるべく大きなスクリーンの映画館にゴー!なぜかっていうと、スクリーンがデカければデカいほど例の冒頭シーンでは一気に物語世界に入っていけるし、「Planetarium」って曲のシーンでは星空に包まれるような追体験できちゃうから!(よしひろまさみち/ライター)

2017 Summit Entertainment, LLC. All Rights Reserved. Photo credit: EW0001: Sebastian (Ryan Gosling) and Mia (Emma Stone) in LA LA LAND. Photo courtesy of Lionsgate.

恋愛相談に映画で答える、「よしひろまさみちの恋愛相談シアター」は、本編も再開予定!お楽しみに!

(ハウコレ編集部)

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