貯金を理由に旅行を断った僕が、「俺が正しい」の後に受け取った1行

コラム

届いた1行

既読はついたのに、返事は来ませんでした。僕は会議室を出て自分の席に戻り、何度もアプリを開いては閉じました。怒っているのか、呆れているのか。画面からは何も分かりません。今頃、洗い物でもしながら、僕の文面を読み返しているのだろうか。

ようやく届いた返信は、想像していた反論のどれでもありませんでした。

「うん、正しいよ」

正しさを認められたのに、少しも勝った気がしませんでした。彼女は僕の理屈と戦わず、理屈ごと受け取って、帰る場所だけを指さしていた。上司に言われたことを、彼女は1行で言い直していたのだと思います。

そして...

「今から帰る」

そう送って、僕は残っていた資料を明日に回しました。途中のコンビニでプリンを2つ買ったのは、手ぶらで玄関に立つ自信がなかったからです。

チャイムを鳴らし、靴を脱ぐ前に言いました。

「ごめん。正しいって書いた時点で、もう負けてた」

「知ってた」

温泉に行けるかは、まだ決まっていません。ただ、その相談を「俺が」ではなく「2人で」始められたことだけは、今日1日で唯一正しかったと思っています。

(20代男性・営業職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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