ダサいと笑った紙の時刻表、今は私の旅行雑誌の隣に→帰りの電車で「見方教えて」と言った日

コラム

友人たちに聞かれても、答えを濁してきた彼の趣味。出発前に念を押したはずの分厚い本を、彼はよりによってその友人たちの目の前で取り出しました。

乗り換え駅のホームに、同じアナウンスが何度も流れました。強風のため運転を見合わせており、再開の見込みは立っていないそうです。親友の結婚式で受付を任されていた私は、スマホの時計と電光掲示板を何度も見比べていました。

分厚い時刻表と赤ペンの印

付き合って2年になる彼の趣味は、紙の時刻表を読むことです。休日になるとソファで分厚い本を広げ、乗り換えの時間に赤ペンで印をつけています。

ある日、その姿を見て、つい笑ってしまいました。

「その趣味、ダサいよ」

彼は顔を上げて少し笑い、またページに目を戻しました。

友人たちに彼の趣味を聞かれても、答えを濁してきた私です。式の会場が遠いと話すと、彼は「あの路線、乗ってみたかったんだ」と言い、一緒に来ることになりました。

出発前、念を押しました。

「友達の前では、それ出さないでね」

「うん、分かった」

彼はそう答えて、時刻表をリュックの奥にしまいました。

よりによって友人たちの前で

ホームには、同じ式に向かう大学時代の友人2人の姿もありました。タクシー乗り場にはすでに長い列ができていて、友人の1人は新婦に遅れるかもしれないと連絡を入れ始めています。

すると彼がリュックを下ろし、あの分厚い時刻表を取り出しました。

よりによって、今ここで。約束が違うと思いました。友人たちの視線が彼の手元に集まり、私はコートの袖口を指先でつまんでいました。

ページを何枚かめくった彼は、顔を上げて言いました。

「2つ前の駅まで戻って、バスで回れば間に合う」

「本当に大丈夫なの?」

わざわざ逆方向の電車に乗る案に、正直ついていく気になれませんでした。それでも、ほかに手がないことも分かっていました。友人2人も迷った末に、私たちの後ろに並びました。

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バスの中の短い返事
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