
指定席を譲れと粘る夫婦に、友人を責める男性たち。通路に立っていた私が言った一言
コラム
通路の向こうから届いた「まあ、代わってあげればいいのにね」という小声。座ったまま友人を責める2人に、私は体の向きを変えました。
トイレから席に戻ると、通路に年配の夫婦が立っていました。窓側に座る友人は、外したイヤホンを片手に握ったまま、困った顔で首を横に振っています。楽しみにしていた2人旅の途中で、見知らぬ人たちに向かって声を張ることになるとは思っていませんでした。
何度断っても引かない夫婦
「自由席がいっぱいなんだよ。若いんだから代わってくれてもいいだろう」
年配の男性が、友人の顔をのぞき込むようにして言いました。隣の女性も「少しの間だけでいいのよ」と重ねます。
友人は座ったまま、まっすぐ相手を見て答えました。
「ここは予約して取った席なので、すみません」
2人で並んで座れるよう、早めに予約しておいた指定席。友人が謝る必要は、どこにもないはずでした。
それでも夫婦は通路をふさいだまま、その場を離れようとしません。私の席の前にも男性が立っていて、座ることさえできない状態です。荷物棚の端をつかんで、やりとりを見守るほかありませんでした。
通路の向こうから聞こえた声
同じ問答が何度か繰り返されたころ、通路を挟んだ隣の列から、ひそひそと話す声が聞こえてきました。スーツ姿の男性が2人。通路側の男性が、窓側の連れに顔を寄せて言います。
「まあ、代わってあげればいいのにね」
「ですよね」
通路に立っていた私の耳には、その声がはっきり届きました。
友人は、何も悪いことをしていません。それなのに、横で見ているだけの人から「譲らない側」として扱われている。自分の席には座ったまま、口だけで人の席を差し出しているのです。そう思ったら、黙っていられなくなりました。
小さく息を吸って、通路の真ん中で体の向きを変えます。
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周りに届くように言ったこと




























