
「もっと女らしくして」と言う彼に、仕事中の写真を1枚送った結果
コラム
送ったのは、同僚が撮ってくれた写真1枚でした。既読はすぐについたのに、返信は来ません。数時間後に届いた彼の言葉を読んで、私は初めて、聞こうと思っていたことをそのまま返しました。
ロッカーの扉を閉めると、スマホの画面に彼の名前が光っていました。開かなくても、内容はだいたい想像がつきます。付き合って1年半、彼からのメッセージは決まった言葉で始まることが増えていました。
決まり文句のように届いていた言葉
介護施設で働く私は、爪を短く切り、髪をひとつに結び、通勤も動きやすいパンツとスニーカーです。
彼はそれが気に入らないようでした。
「もっと女らしくして」
会った翌日に、その言葉が届くことが何度もありました。
私はそのたびに「次はスカートにするね」と返し、実際に着ていったこともあります。それでも、次は髪型、その次は靴と、彼の言葉はなくなりませんでした。
その日、ロッカーの前で開いたメッセージにも同じ言葉がありました。ただ、続きがありました。
「会社のやつらに彼女の写真見せてって言われて、ちょっと困った」
私はそこで返信をやめました。
同僚が撮った1枚
その日は施設の夏祭りでした。
利用者さんと盆踊りをしたあと、私は制服の上に法被を着たまま、椅子に座る90代の女性の手を取って話していました。
少し離れたところにいた同僚が、その様子を横から撮ってくれていました。
「いい顔してるよ」
見せてもらった写真には、利用者さんの顔は写っていません。手を握りながら笑っている私の横顔だけが写っていました。
彼に仕事中の写真を送ったことは、それまで一度もありませんでした。
会社の人に写真を見せられなかった、というメッセージを思い出し、私はその1枚だけを送りました。
「今日はこんな日でした」
文面はそれだけです。
既読はすぐにつきました。
返信は来ませんでした。
次のページへ
数時間後に届いた言葉


























