
図書館からの返却期限の通知に、1行だけ添え書き→「続き、入荷しました」に私は走りました
コラム
新着の棚に案内されて下巻を手に取りながら、私は司書の名札を初めて読みました。なぜあの1行が私に届いたのか、その場では聞けないままでした。
「返却期限が近づいています」という定型文の下に、見覚えのない1行が続いていました。
上巻だけの棚
近所の図書館とは、返却期限の連絡が届く公式のチャットでつながっています。通知は決まった文面で、人の気配を感じたことは一度もありませんでした。そのやりとりの前、私は借りていた小説の上巻を返却カウンターに出しています。続きが気になって検索機で調べても、下巻は出てきませんでした。
「下巻は、ないんですね」
受付の司書に聞くと、申し訳なさそうに頭を下げられました。
「申し訳ありません。当館では上巻しか所蔵がなくて」
「そうですか」
それだけ言って、私は本を置いて帰りました。続きは自分で買えばいいと思いながら、結局は買わずに別の本を借りて、そのまま日が過ぎていました。
定型文の下の1行
届いた通知の上半分は、いつも通りでした。ご利用中の資料の返却期限が近づいています、という文面です。その下に、改行を1つ挟んで、短い一言が続いていました。
「続き、入荷しました」
署名も、本の名前もありません。自動で送られる文面に、こんな行が混ざるはずがありません。だとしたら、誰かが打ち込んだことになります。あのとき頭を下げた司書だろうか、それとも別の職員だろうか。画面の向こうの様子は、想像するしかありませんでした。返信欄に「ありがとうございます」と打ちかけて、消しました。文字で返すより先に、本を手に取りたかったのです。私はサンダルをつっかけて、図書館までの道を走りました。
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新着の棚にあった1冊




























