「ノリで告白しただけ」と言った彼が、私の返事を三日待った理由

コラム

もう一度、今度は笑わずに

三日目の帰り、ロビーの自販機の前に彼が立っていました。

「三日前の、忘れなくていい」

「罰ゲームじゃなかったの」

用意していた言葉の中でいちばんとがったものが、先に出ました。彼は缶を握ったまま、今度は目をそらしませんでした。

「罰ゲームは関係ない。あれ、本気だった」

三日間、腹を立てていた相手に、本気だったと言われている。怒りの置き場所がなくなって、私は自販機の缶の並びに目を逃がし、鞄の持ち手を握り直しました。

「じゃあ、なんで冗談にしたの」

「困った顔してたから、逃げ道作ったつもりだった。でも、後悔してた」

「返事はいつでもいい。ただ、なかったことにはしないでほしい」

そして...

「わかった。なかったことには、しない」

それだけ答えるのが精いっぱいでした。駅までの道で、彼は三日前のように後ろではなく、隣を歩きました。

嘘だと思っていた三日間より、本気だとわかってからの数分のほうが、ずっと落ち着きませんでした。返事はまだ決めていません。ただ、店での話を思い出すことは、もうなくなりました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line