
元カノと比べた一言に返ってきた、元カレの長所を並べた彼女のリストが刺さった理由
コラム
ソファに置いたスマホの画面が暗くなるまで、送った文面を見ていました。「元カノはもっと優しかった」。付き合って1年半、一度も口にしなかった名前を、俺は逃げ道として使ってしまったのです。
「今日ほんとしんどかった」と送った理由
取引先の担当者から「今回は見送ります」と言われたのは、会議室を出た直後でした。半年追いかけた契約が、その一言で終わり。デスクに戻る前に、彼女へ「今日ほんとしんどかった」とだけ送りました。何があったかは書いていません。
「今残業中。後でね」
既読は早くて、返信も早い。それが余計に、後回しにされたように感じました。
帰宅してからの2時間、チャットは開いたままでした。優しくしてほしいと言えないなら、優しくないと責めればいい。そんな計算を、指が勝手にしていました。
1行ずつ届いた「じゃあ元カレは」
送信して数秒で既読が付き、間を置かずに「じゃあ元カレは」が届きました。続けて1行ずつ。
「記念日を忘れなかった」
「私の話を途中で遮らなかった」
「疲れてても八つ当たりしなかった」
元カレの長所を並べたもののはずなのに、読めば読むほど、書いてあるのは俺のことでした。去年の記念日に日付を間違えたこと。彼女の話の途中で仕事の電話を優先したこと。そして今日、しんどさをぶつけたこと。彼女は俺に言えなかったことを、一つずつ拾い上げている。そう気づいたところで、3行目から少し間が空きました。
「私に元カノの話をしなかった」
この1行だけは、重さが違いました。前の3つはこれから直せる。でも、口にした名前は戻せない。
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書いては消した一通を、そのまま送るまで

























