「俺の奢りな!」と店で言った俺が、帰りの電車で送った「いつもの送金アプリでいいから」

コラム

送金アプリの通知のあと、いつもなら続くはずの彼女のスタンプが、その日は届きませんでした。店員さんの前で見栄を張った俺が、本当にかっこつけたかった相手は誰だったのか。

店員さんの前で言った「俺の奢りな!」

久しぶりに予約した店で、彼女は前菜の皿を撮っては、俺に画面を向けてきました。伝票が運ばれてきたとき、店員さんは2人の間に立ったままでした。

「俺の奢りな!」

思ったより大きな声が出ていました。彼女が「え、いいの?ありがとう」と笑い、店員さんが「ありがとうございます」と頭を下げます。カードを渡しながら、店を出るまでこの顔でいようと決めていました。8600円。レシートは財布の一番奥に押し込みました。

電車の中で送った2通

駅まで腕を組んで歩き、改札で手を振って別れました。座席で残高を見て、給料日までの日数を数え直します。

「やっぱりレストラン代払ってもらっていい?」

「いつもの送金アプリでいいから」

送ってから、車窓に映る自分の顔を眺めていました。彼女は身内みたいなものだから、後から精算しても変わらないはずでした。

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