
「俺の奢りな!」と店で言った俺が、帰りの電車で送った「いつもの送金アプリでいいから」
コラム
返ってきた「わかった」と、届かなかったスタンプ
既読はすぐにつきました。返信までは、いつもより間が空きます。
「わかった」
その少しあとに、送金アプリの通知。4300円、メモ欄には「レストラン代」とだけ。
「送ったよ」
「ありがと!助かる」
俺はいつものスタンプを続けて送りました。彼女のスタンプは、その日は届きませんでした。
翌日、「昨日楽しかった。次いつ空いてる?」と送りました。既読がついてから返信が来るまで、この2年で一番長い間が空きました。
「ちょっと予定確認する」
それだけでした。
そして...
チャットを上にさかのぼって、自分の2通を読み返しました。「いつもの」と打ったのは俺です。ただ、その前に店員さんの前で、俺だけが違うふりをしていました。あの店員さんは、俺の顔をもう覚えていないでしょう。4300円を誰が払ったのかを覚えているのは、彼女だけです。
財布の奥からレシートを出して、机の上に広げました。店の名前と数字を見ながら、彼女に送る文面を、今度は残高を見ずに考えています。
(20代男性・会社員)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)



























