「もう店に着いてるよ。3回目だよね」に、責められる前に強く出てしまった俺が、後悔した彼女の一言

コラム

「ドタキャンくらい許せよ」は、責められる前に先に強く出てしまう俺の癖でした。数日後に届いた彼女の返事は、責めても怒ってもいなくて、だからこそ重かったのです。

会社の固定電話が、切ったそばからまた鳴り出しました。その横で自分のスマホが光り、彼女の名前が浮かびます。断りのメッセージを送ってから、まだ10分も経っていませんでした。

断りの一行を打つまで

彼女とは付き合って1年半。行きたい店を見つけるのは俺で、予約を取るのはいつも彼女でした。この日のパスタの店も、俺が行きたいと言い出した場所です。

退社の準備をしていたところに、取引先から納品ミスの連絡が入り、上司と2人で対応に追われました。デスクを離れられないまま、指だけでメッセージを打ちました。

「ごめん、今日行けなくなった。仕事で抜けられない」

既読はすぐつきました。返事が来るまでの間、彼女は今頃メニューを閉じているのだろうかと考えていました。

「もう店に着いてるよ。3回目だよね」

責められる前に、強く出てしまう癖

「3回目」という言葉を見て、頭に浮かんだのは言い訳でした。前の2回も仕事だったこと、今回は俺のせいじゃないこと。全部打ってから消して、残ったのは一番短い一行です。

「ドタキャンくらい許せよ」

送った直後にまた電話が鳴り、対応が終わるまでスマホを裏返して置いていました。

昔から、責められそうになると先に強く出てしまいます。怒られるのが怖くて、怒られる前に相手を黙らせようとする。彼女に対しても、同じことをしました。

裏返したスマホを戻すと、返事が届いていました。

「わかった。今日は一人で食べて帰るね」

一人で座る彼女の向かいの席を想像しました。俺が行きたいと言った店で、俺のいない席を。

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