
彼女の分までまとめて払うと、笑みが消える→その理由は財布の奥の「返す分」の封筒にあった
コラム
断ったのは、数回ではなかった
「別に返してほしくて出してたわけじゃないよ」
彼女はカップの取っ手を持ったまま、こう続けました。
「わかってる。でも、してもらう側でずっといるのは嫌だったの」
「でも、俺は負担させたくなかっただけで」
「それはわかってる。嫌だったのは、払ってもらうことじゃなくて、私が出すって言っても決めるのがいつもそっちだったこと」
俺はもう一度、封筒の裏を見ました。日付の列を上から指でたどると、途中で数えるのをやめて、また最初に戻りました。
「これ、ずっと取ってたの?」
「うん」
「毎回?」
「出すって言っても、受け取ってくれなかったから」
封筒の裏には、ここ2か月ほどのデートの日付が並んでいました。俺には数回のつもりでも、彼女はそのたびに、自分が出すと言った分を封筒へ入れていたのです。「私も半分出すよ」は遠慮ではなく、その日の会計を一緒に決めたいという申し出で、それを却下し続けていたのは俺でした。
「ごめん。次から、出すって言われたら勝手に断らない」
「毎回半分じゃなくてもいい。ちゃんと出せるようにしてほしいだけ」
俺はうなずいて、封筒を彼女の手に戻しました。
そして...
次のデートの会計前、彼女は封筒から千円札を抜いて、俺に差し出しました。「この前の分」と言われて押し返した日と、同じ手つきでした。今度は受け取りました。彼女が財布を開けるまで待つことは、今も続けています。
(20代男性・営業職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























