「女子会とか意味ある?」と送る彼が、女子会の店に来た理由

コラム

「まだ店にいる?」の1通に返事を打てないまま、私は画面を伏せました。窓の外に見えた彼の手には、傘が2本ありました。その傘を、私はすぐには受け取れませんでした。

グラスが運ばれてくる前に、テーブルの下でスマホの画面をもう一度確かめました。彼からの返事は、休憩中に届いた1行から増えていません。その1行を、席についてからも読み返していました。

「女子会とか意味ある?」の1行

彼と同棲を始めて1年になります。この数週間、私は職場の異動の話が頭から離れず、彼に「何かあった?」と聞かれても「大丈夫」としか返せずにいました。休憩中、学生時代の友人から集まりの誘いが届き、私は彼に「今日、女子会になったから遅くなるかも。いつもの駅前の店」と送りました。既読はすぐにつきました。返ってきたのは「女子会とか意味ある?」。それだけでした。友達と会うことまで、この人は面倒に思うのか。そう受け取って「私の友達のこと、そういうふうに思ってたんだ」と打ちました。「そういう意味じゃない」。その返事を最後に、画面は止まりました。

返事を打てないまま伏せた画面

店は駅前の、窓際のテーブルでした。私を含めて3人。異動の話を切り出すと、友人は「彼には言ったの?」と聞きました。「言えてない」と答えるのが精一杯でした。テーブルの上でスマホが光り、彼の名前と「まだ店にいる?」の1行が並びます。迎えに来て、この場を終わらせるつもりなのだろうか。返事を打てないまま、私は画面を伏せてテーブルの端に寄せました。友人が注ぎ足してくれたお茶が、ぬるくなるまで手をつけずにいました。伏せたスマホが短く音を立てたのは、会計の話が出始めた頃でした。「外にいる。傘持ってきた。無理に出てこなくていいから」。顔を上げて窓の外を見ると、向かいの店の軒下に、彼が立っていました。手には傘が2本。肩の辺りが濡れているのが、窓越しにもわかりました。

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傘を2本持った彼
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