「女子会とか意味ある?」と送ってしまった俺が、雨の夜に傘を2本持って店の前に立った

コラム

入り口を押せなかった理由

店のドアが開いて、彼女が出てきました。俺は傘を1本差し出してから、口を開きました。「ごめん。言い方が最悪だった」。「なんであんなこと送ったの」。彼女の声は、雨音に紛れそうなほど低いものでした。傘を引っ込めずに、俺は答えました。「最近元気ないの、俺には話してくれないから。友達には話せるんだなって、勝手に拗ねた」。彼女は俺の傘ではなく、足元の水たまりを見ていました。「話せなかったの。心配かけると思って」。その答えで十分でした。うなずいて、続けました。「送るだけ。話は帰ってからでいい。まだ飲んでていいよ」。「もう会計だけだから、待ってて」。彼女はそう言って、傘を受け取らずに店へ戻りました。俺は軒下で待ちました。ドアがもう一度開いて、荷物を持った彼女が出てくるまで、開かなかった傘はそのまま手の中にありました。

そして...

帰り道に聞いた異動の話は、俺が想像していたよりずっと重いものでした。あの日、彼女の友達が先に聞いてくれていたことに、今は救われた気がしています。今は、彼女が口数の少ない日ほど、俺のほうから「聞くだけでいい?」と先に送るようにしています。

(20代男性・営業職)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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