「今週末どこか行かない?」に「了解」しか返せなかった俺→腕の中には生後3週間の子猫がいました

コラム

打ちかけた説明文を消すたび、腕の中の重さが増していく気がしました。「ごめん、ちょっとだけ時間ちょうだい」と送ったあと、俺は写真を撮るために、この子を手のひらに乗せ直しました。

アパートの外階段の下から、濡れた鳴き声が聞こえました。段ボールも布もなく、灰色の子猫が1匹、コンクリートの上にいただけです。抱き上げた手のひらの中で、頼りない重さが動きます。彼女から「今週末どこか行かない?」と届いていたことに気づいたのは、その子を部屋に運び込んだあとでした。

片手で打った「了解」

獣医さんに見せると、生後3週間ほどの子で、数時間おきにミルクが必要だと言われました。倉庫の仕事から帰ると、ミルクを温めて、哺乳瓶を持って、腕に乗せる。空いた時間はケージやトイレの買い出しと、獣医への再受診の予約で埋まり、この子が寝ている間に自分も眠らないと、次のミルクに起きられません。袖口はミルクで汚れたままです。

「今週末どこか行かない?」に打とうとした「週末はちょっと」の続きを、途中で消しました。子猫が腕の上で鳴き、抱え直しているうちに、送ったのは「了解」だけ。予定に何も答えていない返事だと分かっていながら、そのままにしてしまいました。

寝落ちの先で選んだ一言

翌日届いたワンピースの写真は、子猫にミルクをあげている途中で開きましたが、いつのまにかこの子と一緒に寝落ちしてしまいました。鳴き声で起きて、そのまま次のミルク。返していないことに気づいたときには、既読から何時間も経っていて、今さら「似合う」だけ送るのも気が引けて、結局「了解」と打ちました。拾ったことは、この子が落ち着いてから話そうと決めていたので、事情も添えないままです。

「明日、仕事終わりに電話していい?」にも「了解」と返してから、かかってきたら何と言おうかと、ミルクの粉を計りながら考えていました。電話は、かかってきませんでした。それに少しだけ安心してしまった自分がいます。

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