通販で選んだ白い椅子のほうがいいと思っていた俺が、父の木の椅子に息子を座らせて気づいたこと

コラム

押し入れに片付けようとした椅子を、息子は両手で抱えて離しませんでした。座らせてみて初めて、前脚の間に渡した板の意味に気づきます。

実家の物置の前に、削りかすをかぶったままの小さな木の椅子が置いてありました。

通販で選んだ白い椅子

息子が4歳になり、食卓で使う子ども椅子を新しくしたばかりでした。通販で見つけた白い椅子は、大人用のテーブルに座面の高さが合うように作られていて、値段もそれなりです。俺はそれを気に入っていました。

帰省した先で、父が物置から出してきたのが、あの木の椅子です。無塗装で、座面は低く、前脚の間に横板が1枚渡してあります。定年後に日曜大工を始めた父は、棚やすのこを作っては母に呆れられていました。

「孫に」と父が言うので、座面を指で押しながら、うちにはもう椅子がある、値段もそれなりだった、と説明しました。それでも父が引かないので、笑って言ってしまったのです。

「素人工作だな」

父は「まあな」とだけ言って、椅子を車のトランクに積みました。

廊下の隅に置いたまま

家に帰ると、白い椅子は食卓に、木の椅子は廊下の隅に置くことになりました。妻は黙っていて、息子はときどき廊下にしゃがんで木の椅子に座っていましたが、通り道の邪魔だとしか思っていませんでした。

数日後、掃除のついでに押し入れへしまおうと持ち上げたところで、息子が走ってきました。椅子の脚を両手で抱えて、廊下の床に座り込みます。

「じいじの椅子がいい」

泣き声はそのうち止まると思って、そのまま椅子を持ち直しました。息子は離しません。妻が後ろから「一回座らせてみたら」と言うので、渋々、木の椅子を食卓の白い椅子の隣に置きました。

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脚の間の板
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