「隠し事は裏切りって言ったの、そっちだよね」週末は「実家の手伝い」のはずの彼が、モールの教室で声をかけられた

コラム

「あとで連絡します」とだけ答えて彼は早歩きで進みました。その後、自分の言葉をそのまま返しても、彼は否定しませんでした。代わりに差し出されたのは、次の週末の約束だけです。

ガラス越しに、ろくろを回す人たちの手元が見えました。ショッピングモールで、彼と並んで歩いていた日のことです。教室から出てきたエプロン姿の女性が、迷わず彼に声をかけるまでは、いつもの休日のままでした。

半年前、彼が口にした言葉

付き合って1年になる彼が「隠し事は裏切りだと思う」と口にしたのは、半年ほど前のことです。大学のサークル仲間との集まりに私が黙って顔を出したことを、彼はSNSの写真で知りました。責める口調ではなかったものの、テーブルの端のスマホを伏せたまま、彼はしばらくこちらを見ませんでした。

それ以来、予定は小さなものまで伝えるようにしてきました。一方で彼は3か月ほど前から、週末になると「実家の手伝い」で会えなくなっています。会えるのは仕事帰りの短い時間だけです。

その日は、久しぶりに2人の休みが重なった日でした。

エプロン姿の女性と、足早な彼

「次もいらっしゃいますか?作品、窯から出ましたよ」

女性はこちらに軽く会釈してから、彼にそう言いました。彼は「あとで連絡します」とだけ答えると、エスカレーターのほうへ早歩きで進みました。追いついたのは、下りエスカレーターの手前にあるベンチのそばでした。

窯、作品。どれも実家の手伝いとはつながりません。

「週末って、実家の手伝いじゃなかったの?」

「ごめん。今はまだ言えない」

彼はまっすぐこちらを見て答えました。ごまかすつもりなら、もっと上手な言い方があったはずです。言えないことがあるとだけはっきり告げられて、かえって引っかかりが大きくなりました。

「隠し事は裏切りって言ったの、そっちだよね」

「うん、言った」

否定しないまま、彼はベンチに腰を下ろしました。私だけが決まりを守り、週末彼は、私の知らない場所にいる。その不公平さを、どう伝えればいいのか分からずにいました。

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