
会議資料も休日の在庫確認も載っていない1枚の資料→課長の頼みを断った私に、部長が出した紙
コラム
先輩がいなくなった翌週、課長から当たり前のように頼まれた休日の作業。何度めくっても、資料のどこにもその仕事は載っていません。私が口にしたのは、引き受ける返事ではありませんでした。
先輩から手渡された引き継ぎ資料は、クリップもいらないほど薄いものでした。紙は1枚きりで、並んでいるのは箇条書きの項目が数行だけ。新卒で入ってから、この席の仕事はほとんど先輩に教わってきたのですが、その量とはどうしても釣り合いませんでした。
項目が数行しかない引き継ぎ資料
受注の入力、請求書の発行、電話の取り次ぎ、備品の発注。書かれていたのは、普段から横で手伝っている作業ばかりです。
先輩が課長に頼まれて会議の資料を作っていたことも、人のいない倉庫で在庫の表をつけていたことも知っています。そのどちらも、紙には載っていませんでした。
「これだけ、ですか?」
紙から顔を上げると、先輩はペンの先で資料の上をトンと叩きました。
「書いてあることが、この席の仕事だよ」
説明はそれきりで、先輩は自分の机の片付けに戻っていきました。退職前で忙しくて、急いでまとめたのだろう。そう考えることにして、足りない分は自分で覚えようと、手帳に先輩の作業を書き出し始めました。
課長の頼みと、どこにもない項目
先輩が会社を出た翌週、課長が私の机にやってきました。
「休みの日の在庫確認、次からよろしくね」
先輩が休日にも出てきていたことを、そこで初めて知りました。引き出しから資料を出して、上から順に指でなぞっていきます。在庫の文字は、どこにもありません。
先輩がペンで叩いた紙を、もう1度見下ろしました。
「引き継ぎ資料に入っていないので、部長に確認してもいいですか?」
課長は「いや、そこまでしなくても」と言いかけて、口を閉じてしまいました。
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部長の引き出しから出てきた、細かい字の紙





























