
「友達の前では、それ出さないでね」と念を押された時刻表→強風で電車が止まり、俺はリュックを下ろした
コラム
約束より先に選んだこと
運転見合わせのアナウンスが流れた時、ホームには彼女の大学時代の友人2人もいました。タクシー乗り場の列を見て、俺はリュックを下ろしました。
約束を忘れたわけではありません。けれど、受付を任された彼女が間に合わないほうが、ずっと困ることだと思いました。
挟んでおいたメモの2番目を確かめてから、顔を上げました。
「2つ前の駅まで戻って、バスで回れば間に合う」
「本当に大丈夫なの?」
返ってきた声は硬いままでしたが、彼女は友人2人と一緒に後ろをついてきてくれました。
バスの中で、友人の1人に言われました。
「彼氏さん、詳しいんだね」
「たまたま調べてただけだよ」
メモのことは言わずに、時刻表を閉じました。趣味の話が広がれば、また彼女が困る気がしたのです。
そして...
会場近くの喫茶店で待つ間、窓の外の街路樹の揺れがおさまっていくのを眺めていました。
帰りの電車で、彼女のほうから声をかけてきました。
「今度、その時刻表の見方教えて」
少し驚いてから、表紙をめくってすぐのページを彼女に見せました。
それからというものの、彼女が俺の趣味を少し認めてくれているように感じています。
(20代男性・会社員)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























