引き止めるつもりで「俺を失ったら終わりだよ」と言った俺→閲覧者に名前が並ぶと分かっていても、やめられない

コラム

引き止めるつもりで口にした一言にも、彼女は戻りませんでした。その後の投稿を見るたび、自分の言葉の意味が変わっていきます。

スマホの画面をスクロールして、更新するのが癖になっていました。探しているのは、別れた彼女の新しい投稿です。

彼女の世界が広がるのが怖かった

転職してから、休みの日に会う友人は1人もいなくなっていました。俺の予定には、いつも彼女しかいない。だからこそ、彼女が陶芸教室の話を楽しそうにするたび、その話を遮りたくなったのです。

「陶芸なんて意味ある?」

口にしたのは、教室の仲間の名前が増えていくのが面白くなかったから。旅行の誘いにも服にも、先回りして口を出しました。

「俺がいないと何もできないだろ」と繰り返したのは、本当は俺のほうが、彼女なしでの過ごし方を知らなかったからです。それを認めるのが怖くて、言葉だけを強くしていました。

引き止めるつもりの捨て台詞

別れを告げられた日、俺は玄関の壁にもたれて腕を組んでいました。靴箱の上に合鍵が置かれる音を聞いても、どこかで彼女が思い直すと信じていたのです。

「俺を失ったら終わりだよ」

脅しのつもりはありませんでした。こう言えば、彼女は振り返って戻ってくる。3年間、強い言葉を言えば彼女が折れてくれたからです。

「そうかもね。じゃあ、元気で」

閉まったドアを見ながら、自分が口にした「終わり」が誰のことだったのか、分からなくなっていました。

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