
「私のほうが先に結婚する」と言っていた私→同期の結婚式当日、改札の手前で引き返しました
コラム
同期は、誰よりも先に私に結婚を報告してくれました。その気づかいが分かるからこそ、素直に喜べませんでした。
駅の改札の手前で、ICカードを持つ手を下ろしました。バッグの中には、数日前に用意したご祝儀袋。このまま改札を抜ければ、同期の結婚式には十分に間に合うはずでした。
勝ちたかったのは1つだけ
彼女とは入社同期で、ずっととなりの席です。仕事が丁寧で、上司からの信頼も厚い。評価面談のたびに結果を聞いては、自分との差を確かめていました。
仕事で追いつけないなら、せめて結婚だけは先にしたい。付き合って4年になる彼がいたこともあり、いつからかそう考えるようになっていたのです。
先輩の結婚報告があった日、社員食堂で口にしたのが「私のほうが先に結婚する」という言葉でした。彼女に向けたようで、本当は自分に言い聞かせていたのだと思います。笑って「うん、応援してる」と返されたとき、張り合う相手にもされていない気がして、面白くありませんでした。
先に教えてくれた理由
休憩室でコーヒーを飲んでいたとき、彼女に声をかけられました。
「実はね、結婚することになったの」
社内の誰よりも先に、私に伝えにきてくれた。あの口ぐせを知っているからこその気づかいだと、すぐに分かりました。けれどその優しさを、素直に受け取れなかったのです。
紙コップを両手で持ち直し、どうにか「そっか、おめでとう」とだけ返して席に戻りました。
その少し前、彼に結婚の話を切り出したばかりでした。返ってきたのは「今はまだ考えられない」という答えです。
返信はがきが届いたとき、欠席に丸をつければ嫉妬を認めることになる気がしました。出席に丸をつけ、「楽しみにしてます」と書き添えて投函しました。
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改札の手前で




























