
写真だけで彼女の実家を見下していた俺→彼女の実家の庭でスマホを構えてしまった理由
コラム
足を崩して眺めていた座敷が、庭を見たあとには違って見えました。彼女のお父さんが何気なく口にした一言で、俺の頭の中では別の計算が始まっていました。
送信ボタンを押したとき、ほんの軽口のつもりでした。付き合って1年半の彼女なら、笑って流すだろうと思っていたのです。あのメッセージを都合よく忘れたくなったのは、彼女の実家の庭を見てからでした。
写真から決めつけた家
俺の父は昔から「結婚相手の家は見ておけ」が口癖でした。車や家の新しさで相手を量るのは、我が家では当たり前のことだったのです。
挨拶の日取りが決まり、彼女から写真が届きました。彼女の実家の写真です。それだけで、暮らし向きは想像がつくと思いました。
「お前の家貧乏なんだな」
そう送り、手土産も安いのでいいと付け足しました。古い造りなだけ、と返ってきたときも、強がっているようにしか読めませんでした。
池の前で構えたスマホ
挨拶の日、駅の改札で彼女と合流し、お父さんの運転する車で実家へ向かいました。
座敷では、どうせ気楽な家だろうと足を崩していました。お茶を飲み終えたころ、お父さんに家の中を案内すると言われ、後についていきました。
廊下の先には蔵があり、その奥に庭が広がっていました。池に、枝ぶりの整った松、苔の上の石灯籠。旅館の中庭でしか見たことのない景色です。
「このへんの田んぼも山も、昔からうちが貸しているんですよ」
お父さんは世間話のように言いました。俺は池の前でスマホを構え、何枚も写真を撮っていました。
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座り直した理由




























