兄の家で食器を置きっぱなしにしていた私が、兄にだけは言えなかった家出の理由

コラム

食卓に食器を残したまま1週間。兄の彼女から「なんで私たちの家に来たの?」と聞かれ、兄にも話していない家出の理由を、1つずつ口にしていきました。

兄の彼女にドアをノックされても、浴室からすぐには出られませんでした。困らせると分かっていても、そこでしかできないことがありました。

兄の部屋のソファ

実家の最寄り駅から兄にメッセージを送ると、返ってきたのは「いいよ」だけ。理由を聞かれず、少しほっとしました。

兄とソファで待っていると、兄の彼女が帰ってきました。

「妹、しばらくここにいるから」

兄の言葉に合わせて、座ったまま軽く頭を下げました。

「しばらくお世話になります」

理由を聞かれても、「ちょっと、いろいろあって」と笑って返すのが精いっぱい。その日から、ソファが私の寝床になりました。

ドアを閉められる場所

実家では、食器を下げるのは母の役目でした。ここでも食べ終えたお皿は、テーブルに置いたままでした。洗い物をしている兄の彼女の横に、飲みかけのグラスを置いたこともあります。

「これもお願いしていい?」

母に言うのと同じ調子でした。

いちばん迷惑をかけていたのは浴室です。寝室とトイレを除けば、ドアを閉められるのはそこだけでした。

兄に知られたくない専門学校の募集要項を、湯船のふたに広げて読んでいました。母からの電話にも、洗面所で出ていました。

ノックされても、資料や電話を片づけるうちに時間がたっていたのです。

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