「今日もデート代、ゼロだったな」と言った俺が、スーパーの値札を見て気づいたこと

コラム

彼女の部屋を早めに出て、帰り道のスーパーに寄りました。値札を1つずつ見て回るうちに、実家の冷蔵庫がいつも埋まっていた理由に、ようやく思い当たりました。

その日、彼女の部屋に着いたときは、出汁の匂いが玄関まで届いていました。テーブルには、もう土鍋と取り皿。俺が提げていたのは、ペットボトルのお茶1本だけでした。靴を脱ぎながら、今日もお金をかけずに済んだと考えていたのです。

当たり前に用意されていた食卓

彼女とは付き合って1年になります。俺は実家暮らしで、食事はずっと母が用意してくれていました。家に入れているのは毎月決まった額だけ。冷蔵庫の中身にいくらかかっているのか、考えたこともありませんでした。

外で会うときは自分が払うもの。そう思っていたので、初めてのデートで彼女がバッグに手を入れたとき、自然に口をついて出た言葉です。

「デート代は俺の負担」

3か月ほど前、レストランで会計を待っていると、彼女が伝票を見ながら言いました。

「毎回出してもらうの、なんか悪いな」

笑ってはいましたが、視線は伝票から離れません。お金がかからなければ、彼女が気にすることもないはず。そう考えて、駅までの帰り道で誘いました。

「次は部屋でゆっくりしない?」

お茶1本で通った3か月

それからは、ほとんど彼女の部屋で会うようになりました。寒くなってからは鍋が続き、行けば土鍋が湯気を立てていました。俺はお茶を1本持っていくだけ。デート代はほとんどかからなくなり、正直、助かったとも思っていました。

その日も鍋を食べ終え、ソファで伸びをしながら、流しに立つ彼女の背中に声をかけました。

「今日もデート代、ゼロだったな」

もう気にしなくていいよ、というつもりでした。ところが彼女は蛇口を閉め、濡れた手のまま振り返りました。

「デート代は俺の負担って、言ってたよね」

「え、最近はかかってないし」

「かかってるよ。私が払ってるだけ」

豚肉、白菜、豆腐、えのき…。彼女があげる食材はどれも実家の冷蔵庫に当たり前に入っていたものでした。

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