雨の日は毎回「うちの子も乗せてってくれない?」と頼むママ友→車通勤の私が、ある日打った返事

コラム

遠回しに口にしたガソリン代の話は、笑って流されました。玄関先で聞くのは、毎回同じ一言だけ。数えていた回数が増えていったころ、私はある返事を打ちました。

デスクの上で、スマホの画面が光りました。開かなくても、誰からどんな内容が届いたのかは分かります。窓の外では、雨が本降りになりはじめていました。近所に住むママ友から届くそのメッセージに、いつも同じ返事をしていたのです。

車通勤のついでに

娘と同じ保育園の年長クラスに、ママ友の息子くんがいます。車で通勤している私は、仕事帰りに保育園へ寄り、娘を乗せて帰るのが毎日の流れでした。ママ友は免許を持っておらず、いつもは自転車でお迎えに来ています。

初めてメッセージが届いたのは、梅雨に入ってすぐのことでした。

「うちの子も乗せてってくれない?」

「いいよ」

雨の中の子ども乗せ自転車は大変だろうと思いました。帰る方向は同じですし、後部座席にも余裕があります。

2人を乗せて彼女の家の前に車を停めると、玄関のドアが開きました。

「あ、おかえりー」

彼女は息子くんの手を取ると、そのままドアを閉めました。ありがとうの言葉がなかったと気づいたのは、車を出してからです。急いでいたのだろうと、その日は気にしないことにしました。

数えはじめた雨の日

それから、雨が降るたびに同じメッセージが届くようになりました。

「うちの子も乗せてってくれない?」

「いいよ」と返して、保育園で2人分の靴を履かせ、娘の隣に息子くんを座らせます。玄関先で聞くのは、毎回「あ、おかえりー」だけでした。

5回目を過ぎたあたりから、回数を数えるようになっていました。学生時代、アルバイト代を貯めて教習所に通った日々を思い出します。決して安くなかった免許と、毎月のガソリン代。そこに、よその子を預かる責任も加わっていました。

一度だけ、遠回しに口にしたことがあります。玄関先で息子くんを渡しながらでした。

「最近ガソリン高いよね」

「うちは車ないから分かんないや」

彼女は笑って、ドアを閉めました。

次の雨の日も、仕事中に同じメッセージが届きました。返信欄を開いたまま、画面を見つめます。「いいよ」の代わりに打ったのは、別の言葉でした。

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