
記念日に何も持たず帰った彼。後日コートから出てきた一枚の紙に、私は理由を知りたくなりました
コラム
テーブルには、半年前から取り置きしてもらっていたケーキと、彼の好物を並べていました。3年目の記念日を、二人で祝うはずだったのです。けれど帰ってきた彼は手ぶらで、私が用意した料理にもほとんど箸をつけませんでした。
記念日の食卓
数日前から、私は少しそわそわしていました。付き合って3年目の記念日。二人でゆっくり過ごせるのは久しぶりで、彼の好きな煮込み料理を仕込み、デザートのケーキも取り置きしてもらっていたのです。玄関の鍵が回る音がして、私はエプロンのまま、笑顔で出迎えました。
「おかえり。今日、3年目の記念日だよ」
そう声をかけると、彼は小さくうなずいて、「ああ、ごめん。なんだか疲れちゃって」とだけ返しました。手にはかばんがひとつだけ。花も、小さな包みも、何もありません。
記念日を忘れているわけではなさそうなのに、彼の表情はどこか遠くを見ているようでした。
届かない言葉
食事の時も会話はあまり続きませんでした。彼は料理を口に運びながらも、何度もスマホの画面に目を落としています。心配になって、私は「何かあった?」と尋ねてみました。
返ってきたのは、「いや、別に。先に休むね」という短い言葉だけでした。記念日くらい、ちゃんと向き合ってほしい。そう思う一方で、ここ最近の彼が仕事に追われているのも知っていました。問い詰めて気まずくするのも違う気がして、私はケーキに立てるはずだったろうそくを、引き出しにそっとしまいました。
寝室から聞こえてくる彼の寝息を確かめながら、楽しみにしていた一日がただ過ぎていったことだけが、心に残りました。
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一枚の控え

























