
「その話、発表でやってみたら」勧めた彼が私の発表だけ拍手の前に席を立った→脈なしを覚悟
コラム
資料の最後の一枚を読み終えて、私は顔を上げました。発表を聞いてくれていた人たちの中に、ひとりだけ席を立つ人がいます。それが好きな人だと気づいたのは、その背中が出入口へ向かったあとでした。
勧めてくれたのは、好きなあの人でした
月に一度集まって、それぞれが好きなテーマで発表する会に、私は通っていました。人前で話すのは苦手で、いつも聞く側に回っていたんです。そんな私に、彼が言ってくれました。
「その話、発表でやってみたら」
たった一度のその言葉で、私は初めて手を挙げる気になれたのです。
拍手の前に、その背中は出口へ向かった
練習の成果でしょうか、最後まで言葉に詰まらず話しきることができました。客席に目を向けると、彼が席を立つのが見えたんです。拍手が起きるより、ほんの少し早く。
他の人の発表では最後まで座っていた彼が、私のときだけ、出入口の方へ歩いていきます。ドアの閉まる音が、まばらな拍手にまぎれて聞こえました。私の話は、聞くに値しなかったのかな。そんな考えが頭の中を回って、せっかくの拍手がうまく耳に入りませんでした。
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もう、諦めるしかないと思いました


























