
助手席で寝たふりをした俺が、バーベキューの帰りに謝った理由
コラム
網と、油の残った鉄板と、ゴミ袋。片付けを始めると、海水浴で彼女に任せた荷物が頭に浮かびました。帰り道に返ってきた一言を、たぶん一生忘れません。
クーラーボックスの氷が崩れる音で、俺は彼女がまだ外で荷物を運んでいることに気づきました。
助手席に逃げた日
連日の残業のまま迎えた海水浴で、俺は泳ぐだけ泳いで、力を使い切っていました。帰り支度が見えてきたとき、口をついて出たのはこの一言でした。
「疲れたから、あとよろしく」
彼女が何か言う前に、助手席へ乗り込みました。氷の崩れる音で一度目を開けると、クーラーボックスを抱えて歩いてくる彼女が見えました。それでも俺は、目を閉じ直したのです。疲れているのはお互い様だと、わかっていながら。
短い相づちの意味
家の前で降りるとき、俺は言いました。
「ありがとう、助かった」
返ってきたのは、短い相づちだけでした。そのときは、渋滞で疲れたのだろうと受け取っていました。数日後、前から誘っていた日帰りバーベキューに彼女が乗ってきて、俺は単純に浮かれていました。肉を焼く俺の横で、彼女が皿を並べ続けていたことにも、気づいていませんでした。
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返ってきた一言
























