「車出してくれるよね?」が口癖の友人。旅行前日に私が送った1枚の写真

コラム

既読がついたまま止まった画面。返ってきたのは、私が一度も数えていなかったものの話でした。友人には、乗せてもらう側の理屈がずっとあったのです。

ノートの見開きに、12行の日付と金額を書き写していました。学生時代からの友人と行く旅行は、あと1日に迫っています。合計欄の数字を眺めながら、私はスマホのカメラをそのページに向けていました。

「車出してくれるよね?」

友人は車を持っていません。私が車を買ってから、出かける相談はいつも同じ言葉で終わります。

「車出してくれるよね?」

今回の旅行を決めたカフェでも、友人は宿の予約画面を見たまま、顔を上げずにそう言いました。私は「うん」と答えました。

ガソリン代も高速代も、こちらから言い出したことは一度もありません。言えば小さい人間に見える気がして、代わりに帰り道の駐車場で、レシートを財布の奥へ押し込んでいました。

送信する前に3回読み返した文面

家に帰ってからノートを開き、この1年で乗せた日を思い出せる限り書き出しました。日付、行き先、ガソリン代と高速代の目安。12行目まで書いて、合計欄に数字を入れました。

写真を撮り、メッセージに添えました。

「これまでの分をまとめました。旅行の前に、一度ちゃんと話したい」

送信する前に、3回文面を読み返しました。旅行前日にこれを送るのは意地が悪いと、自分でも分かっていました。それでも、当日の車内で笑いながら高速に乗る自分の方が、もっと嫌でした。

既読はすぐにつきました。返信はありません。私は画面を伏せて、洗濯物を畳み始めました。

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