
毎月同じ会場に通っていた私が、友人の番号が呼ばれた日に失ったもの
コラム
呼ばれなかった番号
読み上げられた番号は、友人のものでした。私の番号は今回も呼ばれません。
ロビーの柱のそばでコートを腕にかけ、床を見ていたのは、顔を上げたら先に言い訳が出てきそうだったからです。友人が出てくるのと同時に、顔なじみのスタッフが私に会釈をしました。
「今日もありがとうございました。また来月ですね」
小さくうなずきました。友人がこちらを見ています。
「言えなかった」
友人は何も言わずに、先に回転扉を押して出ていきました。隠したかったのは通っていたことではなく、通っても選ばれない私のほうです。
そして...
翌日、下書きを何度も消したあと、一行だけ送りました。
「来月、隣に立ってていい?」
返ってきたのも一行でした。
「モテるんでしょ、がんばってね」
先月、自分が使った言葉がそのまま戻ってきました。画面を見たまま、次の文を打っています。私はモテない。それを最初に言うべき相手が誰だったのか、遅れて分かりました。
(30代女性・販売職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)



























