
半休を取ったことも電池切れのわけも言えず家を出た俺→引き返すと、紙袋は玄関の真ん中に置かれていた
コラム
「行ってくる」の続き
帰っても彼女に声をかけず、ベッドでは背を向けたまま眠りました。洗面所から戻り、玄関で靴を履いていると、彼女が後ろに立ちました。
「昨日どこにいたの?」
ほどけてもいない靴ひもを、結び直しました。
「電話、3回かけたんだけど」
「ごめん。充電が切れてて」
「それ、答えになってない」
「行ってくる」
妹の名前を出せば、辞めた話まで続きます。約束だから、と自分に言いました。本当は、妹の話をすれば彼女が「うちに来ればいいのに」と言い出すと思い、その先を彼女に背負わせたくないと、聞きもしないうちに決めていました。先月も仕事で遅くなった日があったことを、彼女がどう受け取っていたのかまでは考えていなかったのです。
「行ってくる」の続きを、俺は持っていませんでした。
そして...
改札で引き返して部屋に戻ると、彼女の靴はもうなく、紙袋は靴箱の脇ではなく玄関の真ん中に置かれていました。避けなければ通れない位置です。そのまま玄関先で腰を下ろし、妹に電話をかけました。
「今日、話してもいいか」
「うん。ごめん」
紙袋を膝に載せたまま、次にかける番号を画面に出しました。
(20代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)





























