
約束の15分前、いつも俺が立つ場所に彼女がいた→改札の脇で見た、あの日と同じ動き
コラム
「暇なの?」と笑う彼女に、俺は「まあね」としか答えませんでした。本当の理由を話すには、1年前の話から始める必要があったからです。
改札を抜ける電子音の先に、東口の時計台の下でスマホに目を落とす彼女が見えました。約束の15分前、そこはふだん俺が立っている場所です。見覚えのあるその姿に、改札の脇で足を止めました。
「まあね」とだけ返した日
付き合って1年になる彼女との待ち合わせには、毎回15分ほど早く着くようにしています。この前も先に時計台の下で待っていると、改札を出てきた彼女に笑われました。
「暇なの?」
「まあね」
笑ってそう返し、話はそこで終わりました。理由を話せば、あの日の彼女が不安そうに見えたと伝えることになる。楽しそうに笑っている顔を曇らせる気がして、言い出せなかったのです。
初めて2人で会った日の時計台の下
付き合う前、初めて2人で会った日のこと。俺は約束の時間に改札を出ました。時計台の下にはもう彼女がいて、スマホの地図と周りを交互に見ています。電車が着くたびに出てくる人の顔を確かめ、時計台の反対側へ回っては、また元の位置に戻る。
声をかけると、彼女は目を細めて笑いました。
「よかった、ここで合ってた」
何分待たせていたのかは分かりません。ただ、会えるかどうか分からないまま立っている時間があったことは分かりました。
それからは、場所を決めるときに必ず「東口の時計台の下ね」と送り、自分が先に立つことにしました。15分あれば、彼女が少し早く来ても、改札を出てすぐ俺を見つけられるはずです。
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あの日と同じ動き




























