「かわいいね」の一言だけが返ってきた→愛犬の写真に込めた俺の「会いたい」は、届いていなかった?

コラム

結び目を拾い上げた彼女

チャイムが鳴ると、こいつは俺より先に廊下へ飛び出していきました。ドアを開けると、彼女の足もとに靴下を落として、尻尾を振っています。

拾い上げた彼女は、裏返した靴下の結び目の先をしばらく見ていました。

「このおもちゃ、どうしたの?」

声がいつもより少し硬いことに、そこで気づきました。

「それ、君の靴下。ソファの下から出てきてから、こいつが離さなくて」

アヒルはソファの隅で寝てるよ、と付け足すと、彼女は靴下を握ったまま顔を上げました。

「写真のとき、言ってくれればよかったのに」

「忙しそうだったから、会いたいって言いにくくて」

口に出してみると、こいつのことではなく、自分のことを言っていました。彼女は黙ってしゃがみ込み、結び目をこいつの前に差し出します。あの写真を受け取ってから今日まで、彼女が何を考えていたのかは、聞けないままです。

そして...

彼女が帰ったあと、玄関の横のカレンダーに、次に来る日の印をつけました。こいつは今日も、エレベーターの音がするたびに玄関へ走っていきます。印をつけた日は、まだ少し先です。

(20代男性・会社員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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