
「女の給料なんて、たかが知れてる」と妻に言った僕→それは子どものころ聞いた父の口癖でした
コラム
1枚の紙に書かれていた数字
妻は席を立つと、棚の引き出しからクリアファイルを取り出しました。中から抜き出した1枚が、僕の前に置かれます。
「これ、先月の分」
給与明細でした。手に取って支給額の欄を見たとき、パート代程度だろうと思い込んでいた自分がはずかしくなりました。時短勤務でも資格手当がつき、金額は僕の予想をはるかに超えていたのです。
「……こんなにもらってたのか」
「全部、積み立ててるよ。娘の将来と、私たちの老後のために」
妻が働いていたのは、家計が足りないからではありませんでした。僕が守っているつもりだった家族の先のことを、妻はもっと遠くまで見ていました。明細から顔を上げられないまま、しばらく数字を見つめていました。
そして...
「ごめん。ちゃんと見ようともしてなかった」
明細をテーブルに戻し、頭を下げました。父と同じ言葉で妻の毎日を軽く扱ったことは、どう言い訳しても取り消せません。
あの口癖の出どころを、妻にはまだ話せていません。
次の給料日、「今月の、俺も見ていい?」と声をかけ、自分の明細を妻の明細の隣に並べました。今は毎月、自分の明細を先にテーブルへ出すようにしています。
(30代男性・営業職)
本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。
(ハウコレ編集部)






























