「私がどこか行けば、丸く収まるのかな」笑ってそう言った彼女より先に、俺が部長に異動を願い出た理由

コラム

非常階段で、説明を短くした理由

部長には、異動の希望と一緒に1つだけ頼みました。

「あいつの企画は、今のまま続けさせてください」

彼女に相談すれば、自分が行くと言い出すのは分かっていました。話し合えば、先に折れるのはたぶん俺のほうです。決まってから伝えればいい。そう考えて先延ばしにしているうちに、辞令が出てしまいました。

一斉メールの後、非常階段の踊り場で、異動は自分で出したのかと聞かれました。

「なんで一言も相談してくれなかったの」

「このほうがいいと思ったから」

理由を話せば、自分の一言がきっかけだったと、彼女は受け取るでしょう。それを避けたくて説明を削ったのに、返ってきたのは「2人のことなのに、勝手に決めないで」でした。「ごめん」と謝り、先に階段を下りていく彼女を見送りました。

そして...

最後の出勤日、私物を段ボール箱2つに詰め、マグカップを洗って戻ると、上の箱のふたに付箋が貼られていました。

「帰りに、ちゃんと話そう」

見慣れた彼女の字でした。あの一言がきっかけだったと話せば、彼女は自分を責めるかもしれません。それでも、話さないままでは同じことを繰り返す気がしました。どこまで話すかは決められないまま、付箋を社員証のケースに挟み、箱を台車に載せました。

(30代男性・販促チーム主任)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

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