「信じてくれないなら無理」と送ってきた彼を、私は信じませんでした。

カップル

返信は来ないまま時間だけが過ぎ、次に彼が現れたのは私の玄関先でした。差し出された封筒の中身を読んでも、私はすぐに言葉を発することができませんでした。

彼の部屋のテーブルに置かれたスマホが、短く光りました。浮かんだのは、「みほ」という知らない名前と「来週の件、お待ちしています」の1行。私は箸を止めないまま、見なかったことにしました。

見なかったことにした通知

付き合って1年半になる彼は、ここ数か月、休みの日の予定を教えてくれなくなっていました。「用事がある」「また今度」。聞けば答えてくれた人が、言葉を濁します。その変化に、私は理由をつけないようにしていました。理由をつけた瞬間、想像が1つの方向にしか進まない気がしたからです。あの通知を見た日も、私は普段どおりに食器を洗い、普段どおりに帰りました。帰りの電車で何度も彼とのトーク画面を開いては、閉じる。それを繰り返しているうちに、最寄り駅を乗り過ごしてしまいました。

「みほって誰」と打つまで

次の休みも、彼は「用事がある」とだけ言いました。その用事が終わったころを見計らって、私は自分の部屋からメッセージを送りました。「日曜、誰と会ってたの」。既読はすぐについたのに、返信までにはずいぶん間がありました。「友達。ごめん、また今度話す」。また今度。その言葉を何度目に受け取ったのか、数えるのをやめていました。私は打ち込みました。「みほって誰」。送信してから、消したくなりました。でも、消したところで彼はもう読んでいる。しばらくして届いたのは、1行だけでした。「信じてくれないなら無理」。

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