「信じてくれないなら無理」と送ってきた彼を、私は信じませんでした。

カップル

信じない、と決めるほうが楽だった

説明はありませんでした。誰なのかも、何の用事なのかも。あるのは、信じるか信じないかを私に委ねる1行だけ。私は画面を見つめたまま、返信を打てずにいました。信じるとは、何を信じることなのか。名前も知らない人との「来週の件」を疑わずにいられる自分を、私は思い描けませんでした。だから打ちました。「無理なら、それでいい」。送った直後に既読がつき、そのまま何も返ってきませんでした。翌日も、その次の日も。私は彼の名前をトーク一覧の下のほうへ押しやるように、ほかの友人との会話ばかり眺めて過ごしました。

そして...

彼が私の部屋のドアの前に立っていたのは、あの1行から10日ほど経った休みの日でした。手には白い封筒。「これ、渡したくて」。中に入っていたのは、聞いたことのない会社名の入った採用通知でした。日付は、私が「無理なら、それでいい」と送った翌週。彼は封筒を見つめたまま、「先に言えばよかった」と言いました。私は、それだけでは足りないと思いました。「疑ったこと、消えないよ」。そう言うと、彼は小さくうなずきました。信じなかった私が正しかったのか、今もわかりません。ただ、封筒を受け取った手を、私はすぐには下ろせずにいました。

(20代女性・事務職)

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

(ハウコレ編集部)

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