私がした仕返し

午後になり、私は思い切った行動に出ることにしました。彼が私にしたように、私も彼を「無視」してみようと決めたのです。

友達の彼女と積極的に話すようにして、彼が話しかけてきても「うん」と短く返すだけ。いつもなら彼の隣にぴったりくっついていた私が、少し距離を置いて歩くようにしました。すると、彼の表情が次第に曇っていくのがわかりました。「あれ、どうしたの？」と聞かれても、私は曖昧に微笑むだけ。自分がされて寂しかったことを、彼にもわかってほしかったのです。

そして...

帰り道、友達カップルと別れたあと、彼がぽつりと口を開きました。「今日、俺のこと怒ってた？……寂しい思いさせたよね、ごめん」。その言葉を聞いて、私の心の中でわだかまっていたものが、すっと溶けていくのを感じました。

「うん、正直寂しかった。でも、気づいてくれてうれしい」。そう素直に伝えると、彼は「次からはちゃんとお前のこと見るから」と、照れくさそうに笑ってくれたのです。

仕返しといっても、派手なことをしたわけではありません。ただ、自分の気持ちを行動で示しただけ。でもそれがきっかけで、私たちはお互いの気持ちを確認し合うことができました。少しだけ成長した二人の関係に、静かな温かさを感じた一日となりました。

（20代女性・学生）

本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。

（ハウコレ編集部）