
3年間騙され続けた私。彼が夢見た「最高の舞台」で、すべての嘘が崩れ落ちました
コラム
彼が関係を望んだ「最高の舞台」
ある日、彼が言いました。「来月、うちの親に会ってほしい。正式に婚約しよう」と。
驚きました。けれど私は決意したのです。ここで関係を含めすべてを終わらせようと。
彼のご両親との顔合わせは、都内の高級料亭で行われることになりました。彼は「親父も会社経営者だから格式のある場所がいい」と張り切っていたのです。
当日、私は一人で会場に向かいました。そして会場に着くと、彼のご両親は確かにいらっしゃいました。けれど私が席に着く前に、料亭の入り口が再び開いたのです。
現れたのは、見知らぬ女性でした。いえ、一人ではありません。さらにもう一人。合計二人の女性が、彼を見て固まっていました。
私が調べた結果、彼には同時に交際していた女性がいることが分かっていました。そして私は、彼女たちにも連絡を取っていたのです。「あなたの彼氏が、ご両親を招いて婚約食事会をするそうです」と。
そして...
料亭は一瞬で修羅場と化しました。
「あなた、私と来月結婚するって言ったよね?」「私にも同じこと言ってましたけど?」
二人の女性が次々と声を上げる中、彼は顔面蒼白で何も言えなくなっていました。そこに現れたのは、彼のご両親でした。
お父様は静かに彼を見つめ、そして言いました。「お前は、何をやっているんだ」と。お母様は涙を流していました。その涙を見て、私は悟ったのです。彼のご両親は、彼の嘘に何も気づいていなかったのだと。「うちの息子は一流企業に勤めている」と信じていたであろうお二人の前で、すべてが崩れていきました。
私は静かに言いました。「彼は一流企業に勤めていません。留学経験もありません。私たち全員に嘘をついていました」と。
彼は誰にも目を合わせられなくなっていました。言い訳すらできない。それまで作り上げてきた「嘘」の姿が、音を立てて崩れ落ちた瞬間でした。
後日、彼の元には様々な報いが届いたと聞きました。三人の女性から慰謝料を請求され、ご両親からは勘当同然の扱いを受け、さらに関係を調べ上げた女性の一人が、彼の会社にも経歴詐称の事実を報告したそうです。結果、彼は職を失いました。
すべては、彼が自分で蒔いた種でした。
3年間という時間は戻りません。けれど私は「自分の直感を信じること」「違和感を見過ごさないこと」の大切さをこの身で学びました。あの日、料亭を後にしたとき、冬の空気がとても澄んで感じられたのを覚えています。
(20代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























