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彼女に「ありがとう」を素直に言えなかった俺が、消し続けた下書きの中で本当に伝えたかったこと

コラム

あの予測変換は、彼女とは関係のない場面で覚えさせたものでした。短く返すたびに、本当はもっと伝えたい言葉を消していたのです。

予測変換が拾っていた言葉

あのとき俺は、友人からのメッセージに返信しようとしていました。「ありが」と打った瞬間、予測変換の一番上に出てきたのは「ありがた迷惑」

隣にいた彼女はそれを見て「『ありがとう』より『ありがた迷惑』が先に出てくるんだね」と口にしました。俺はとっさに「予測変換なんて、適当だから」とだけ返しましたが、内心では理由がわかっていました。

少し前、職場の先輩のことを友人にこぼしたとき、何度もその言葉を打っていたのです。頼んでもいない助言を毎回押しつけてくる先輩への愚痴で覚えさせた言葉が、よりによって彼女の前で顔を出してしまいました。

彼女には関係のない言葉だと、その場で説明すればよかったのです。それでも、わざわざ蒸し返すのも気まずくて、俺はそのまま受け流してしまいました。

「ありがとう」だけでは足りなくて

本当のことを言えば、俺は彼女に「ありがとう」と打つのがいつも苦手でした。手料理の写真にも、残業明けの長いメッセージにも、本当はもっと伝えたいことがあるのに、たった一言の「ありがとう」では軽すぎる気がして、うまく言葉にできなかったのです。

だから「うまそう」「お疲れ」と短く返しては、書きかけた長い文章を消してしまう。そんなことを繰り返していました。彼女からのメッセージが少しずつ短くなっていったことには、薄々気づいていました。

それでも、自分の気持ちを言葉にするのが照れくさくて、見て見ぬふりをしていたのです。彼女を不安にさせていたのは、ほかでもない俺の言葉足らずでした。

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彼女から届いた一通
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