
手料理は撮らず、空になったお皿だけ撮る彼。私に興味がないんだと傷ついた話
コラム
料理の写真を撮る人だと思っていたのに、彼のカメラが向くのはいつも空っぽのお皿。「なんとなく」とだけ答える彼の横顔に、見えない壁を感じていました。
「全部食べたよ」だけの食卓
彼は私の作ったものを、いつもきれいに平らげてくれます。最後のひと口まで食べ終えると、決まって「全部食べたよ」と言ってくれました。残さず食べてもらえるのは、作った側としてうれしいものです。
ただ、彼の口から料理そのものの感想を聞いたことは、ほとんどありませんでした。おいしいともまずいとも言わず、味付けの話にもなりません。完食という結果だけがそこにあって、そこに至るまでの私の手間は、彼の目に映っていないように思えたのです。
カメラが向く先
彼はきまってスマホを手に取ります。料理を撮っているのだろうと、私は何気なく彼の画面に目をやりました。そこに並んでいたのは、できたての料理ではなく、空っぽになったお皿の写真でした。気になって、思いきって聞いてみました。
「なんで空っぽのお皿を撮ってるの?」
彼は少し目をそらして、「いや、なんとなく」とだけ答えます。それ以上は聞けず、私は食器を片づけ始めました。せっかく並べた料理には一度もカメラを向けないのに、空のお皿だけを残す彼の気持ちが、私にはわかりませんでした。
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届かない一品

























