
「全部やる」と言った夫が、スマホを見る理由
コラム
「そのスマホ、誰と何話してるの」
夕食後、洗い物をしながらまた画面を覗き込む夫に、私は聞きました。
「そのスマホ、誰と何話してるの」
思ったより低い声が出ました。夫は水を止めて、こちらを振り向きました。
「両親学級の動画、見てた」
そう言って、スマホの画面をこちらに向けました。産院の助産師が話す動画、赤ちゃんの沐浴の手順、陣痛が始まったときの対応の仕方。ブックマークの一覧には、育児サイトのタイトルがずらりと並んでいました。
「産まれる前に、全部覚えておきたくて」
うなずきながら、私は焦げた鍋のことを思い出していました。
そして...
夫が育児のために勉強していたことは、うれしいはずでした。それなのに、素直に受け止められない自分がいました。覚えたかったのは沐浴の手順で、見ておきたかったのは動画の助産師で、私ではなかった。妊娠中の私が今日どんな気分で、何が食べたくて、どこが辛いのか。それを聞いてほしかったのだと、伝えて初めて夫は気づいたようでした。
食卓の炒め物はもう焦げていません。夫が覚えかけの沐浴を私に見せてくれる日は、もう少し先です。
(30代女性・事務職)
本記事は、ハウコレ読者への独自アンケートに寄せられた実体験をもとに制作していますが、個人が特定されないよう、一部設定を変更しています。
(ハウコレ編集部)


























