彼女に「今日は合わせてみた」とだけ送った僕が、画面の外で決めていたこと

コラム

それもある、の残り

5周年の日だけは、いつもと逆に僕が彼女の時間に合わせてみようと思っていました。実際に分かったのは別のことです。眠らずに送った1件が、同じ分に届いた彼女の1件と並びました。その画面を見て、僕はこの5年、彼女がこの生活をどう思うか考えないようにしてきたと気づきました。時差があるから仕方ない。それで済ませれば、これからのことを話さなくて済んだからです。戻ると決めるのが怖かったのではなく、話し合うのが怖かっただけでした。時差は理由になりません。同じ言葉を並べようと思えば、僕はいつでもそうできたのです。回答期限の調査票を開き直したのは、彼女の「おやすみ」を確認し、いつもの「おはよう」を返したあとでした。

そして...

帰国を希望する欄に印を入れて送信しました。それから、彼女とのチャットを開きました。

「帰国希望を出した。まだ決まってない。でも、先に言っておきたかった」

送信してから、僕はようやく部屋の明かりを消しました。

(30代男性・海外駐在員)

本記事は、読者アンケートに寄せられた実体験をもとにした本人視点の記事を参考に、相手側の心情を想定して制作しています。実際の相手本人への取材ではなく、編集部による解釈を含みます。

(ハウコレ編集部)

  • X
  • Line