「もう少し待って」と2年言われ続けた合鍵。その理由を、彼の妹の口から聞いた話

コラム

封筒の宛名は、彼の名前ではありませんでした。戻ってきた彼とテーブルを挟んで向かい合い、私は2年分の問いを口にします。「頼りないのは、黙ってたことのほうだよ」

玄関の鍵が、外から回る音がしました。彼は飲み物を買いに出たばかりで、部屋には私1人です。合鍵は私も持っていないのに、誰かがこの部屋のドアを開けようとしていました。

「もう少し待って」を2年聞き続けて

付き合って2年になる彼の部屋には、週に何度も泊まっています。歯ブラシも部屋着も置いてあるのに、合鍵だけはありませんでした。誕生日にそれとなく頼んだときも、同棲の話が出たときも、彼の返事は同じでした。

「もう少し待って」

何を待つのかは、聞いても教えてくれませんでした。週に何度も泊まり、同棲の話までしているのに、鍵のことだけは先へ進みません。それでも彼は、私の帰りの終電を毎回調べてくれる人で、距離を取りたいようには見えませんでした。だから余計に、鍵のことだけが引っかかったままでした。

鍵を持って入ってきたのは彼の妹でした

ドアが開いて立っていたのは、写真で見たことのある彼の妹でした。手には鍵と、白い封筒。私を見て「あ」と小さく言ったきり、しばらく靴を脱ぎませんでした。

彼が留守だと伝えると、妹は封筒をテーブルに置きました。宛名は妹の名前で、差出人はこのマンションの管理会社です。

「この部屋、まだ私の名義なんです」「兄から聞いてませんでした?」

妹はそう言ってから、兄が転職直後に契約の審査に通らなかったことだけを簡単に説明しました。詳しいことは兄から聞いてください、と封筒を指で押さえて言い、妹は鍵を持って帰っていきました。

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